☆捧げ物&頂き物☆

□嫉妬のイタズラ
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「お前さんまた漫画見とるんか?」

「んー?うん」

「好きじゃのう。」

「だっておもしろいんだもん」

今日、仁王とゆいかは外出デートの予定であったがあいにく外は雨。
外出デートは惜しくも叶わなく、仁王の家でのデートとなった。
しかもゆいかは、家に来る途中に買った漫画に夢中で、仁王には目もくれない様子だ。
これではデートどころではない。

「寂しいのう。」

「仁王のことも好きだから」

「本当じゃな?」

「ほんとほんと。」

ゆいかは適当な返しで仁王の相手をするが当の本人は少々不機嫌気味である。

「そんじゃ、その事を証明してもらおうかのう?」

「は?」

「プリッ」

「あっ!ちょっと何すんの!」

仁王は、ゆいかの読んでいた本を奪い、ゆいかがとれないであろう距離までその手を上にあげる。

「ちょ、返してよ!」

「・・・」

「か、返してってば!」

「・・・」

「く、くそったれ・・」

仁王がわざとゆいかを睨みつけながら黙りこむと、ゆいかは怯みたじたじになる。
その様子をみて仁王は内心少し面白がっていたが、表情は暗くしゆいかを弄びはじめる。

「わしは寂しいんじゃよ。」

「た、たかが漫画だけで?」

「それでも寂しいんじゃ。
二人でいるときはわしだけ見てほしい。」

「いつお前は束縛彼氏になったんだよ。」

「ゆいかは、なんのために今わしといるんかのう?」

「それは・・えっと、」

「漫画読みたいんじゃったらわしがいなくてもできるじゃろ。」

「でも読みたかっ「わがままじゃのう、ゆいかは。
そんな悪い子じゃと嫌われるぜよ」

「ご、ごめんなさい・・」

ゆいかは素直に頭を下げて仁王に謝る。
仁王は口の端をあげてニヤっと笑う。
素直に謝りだしたゆいかにつまらないと感じてしまい、少し苛めてやろうと彼のペテン心が疼いてしまったのだ。
自分の彼氏がそう想っているなんてゆいかは知る由もない。

「そんなんでわしの機嫌が良くなると思うとったら大間違いぜよ。」

「・・ん?」

「こんなゴミ、ゆいかには必要ないんじゃよ。」

「ゴミ?!ゴミって漫画のこと?」

「当たり前じゃ」

仁王はゆいかの漫画を乱暴に床に捨てる。
ゆいかはその彼の態度に一瞬ヒヤっとした。
これは彼が本気で怒ってるのではないかという不安がゆいかを襲ったからだ。

「こんなもの、お前さんには必要ないんじゃ。
お前さんに必要なんは、わしだけじゃ。
家族も友人も誰も必要ない・・わしんだけのもんじゃよ。」

仁王は怯えた表情をしたゆいかを、壁へと追い込んで、逃げられないようにする。

「に、」

「仁王?おまんは彼氏を苗字で呼ぶんか?
それが彼氏に対しての気持ちなんか?」

「ま、雅治・・」

「もっと腹から声をだしんしゃい。」

「雅治!」

「・・よしよし。」

雅治は、ゆいかに微笑みをかけ頭を撫でる。
その行動にゆいかは頭にハテナであったが、雅治はゆいかの反応がおもしろく、プっと吹き出す。

「いじめて悪かったのう。
冗談じゃよ。」

「え、嘘!?
うっわまた騙された〜・・」

「でももうちっと、彼氏を大事にしてくれんかの?」

「うっさい!ばか詐欺師!」

「騙される方が悪いんじゃよ」

「うっざ!
けど・・もとはといえば私が悪いのか・・」

「なんじゃよく理解しとるんじゃな。」

「認めたくないけどもね。」

「確かに嘘ついたりもしとったが、半分は本気なんじゃがのう。
最近わしへの扱いだいぶ酷いと思うぜよ」

「えぇ〜そうかな。」

「もっかい説教したほうがゆいかには効くんかのう」

「わー!ごめんごめん!」

さっきまでの重苦しい空気とはうって変わり、コントのような状態になっている。
これがこの2人の普段の会話のようなものだが、これでは周りから兄妹と言われても仕方がない程である。
それを断ち切りたいという想いもあり、雅治は先ほどのようなことをゆいかに仕掛けるが、その場だけでしか効果は発揮されない。
いわば、ゆいかは学習しないのだ。

「漫画もゴミ扱いして悪かったの。
新刊でたら買ってやるきに」

「ほんと?!」

「お前さん本当に学習しないのぉ」

「なんっだそれ!」

いつの間にか外は晴天となっている。
が、この2人はそれに気付きもせずにコントのような会話を続ける。
その中で、ゆいかは先ほどの本気の雅治をみていろんな意味で心臓が爆発しそうになったことは、今はまだ内緒の話である。

 
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