庭球 夢小説

□リョーマと姉
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「リョーマさーん、名前さーん。
朝御飯ですよー起きてくださーい。」

土曜日に朝。
越前家に越前奈々子の声が響き渡る。
土曜だろうが日曜だろうが、越前家ではきちんと朝の時間に朝御飯を食べると決まっている。
朝寝坊の二人が起きなくて困っている奈々子は南次郎に助けを求める。

「おじ様も二人を起こすのを手伝ってください。」

「いーんだよ。勝手に寝かせてろ。
とくにリョーマはな。
部活に遅刻させてグランドたーんと走らせてやれ」

「っもう、おじ様ったら。」

そう、青学テニス部は土曜日も練習があるのだ。
平日の朝練よりかは時間は遅いがそれでもこのまま寝ていたら遅刻になってしまう。
青学テニス部の部長、手塚は朝寝坊で遅刻したものにはグラウンドを10周以上走らせるため、皆時間はキッチリ守っているのだ。

「「おはよう・・」」

「あら、起きたのね。
おはようございます。」

奈々子はニッコリと朝の挨拶を二人に送る。
越前リョーマと、リョーマの二つ上の姉の越前名前だ。
越前奈々子は、二人の従姉にあたる。
南次郎は、二人の父だ。

「ふああ、眠いなぁ。」

「俺も・・」

「二人とも夜遅くまでゲームしてるからですよ。
リョーマさん、早く食べないと部活遅刻しますよ。」

「わかってるって。
・・で、なんで今日も洋食。」

「やった、今日も洋食!」

「好き嫌いはダメですよ、リョーマさん」

「わかってるけど」

「そうそう、ダメだよリョーマ」

「姉ちゃんは洋食好きだからでしょ。
和食でたら怒るくせに。」

リョーマはムッとしながら言う。
リョーマは和食好きで、名前は洋食すきなのである。
そしてリョーマはテニス部、名前はバドミントン部だ。

「私、部活昼からだからこんな早く起きなくてもいいと思うんだけど・・」

「朝御飯はちゃんと食べないとダメですよ。」

「そうだぞ〜青少年たち。」

「だからお父さんその言い方やめてよ!
私も男みたいじゃん!」

朝から寝っ転がってエロ本をパラパラめくっている南次郎に名前がイスから立ち上がって反論する。
名前は、この言い方が嫌いなのである。
そんな名前に対して、リョーマは食パンを頬張りながら言った。

「男みたいなもんじゃん」

ボコッ

「いって!何すんだよ姉ちゃん!」

「ちょっとは目が覚めた?」

「にゃろう・・」

「ちょっと二人ともダメですよ。」

「「わかってるけどさ」」

同じ言葉が同じタイミングで発した二人はお互いにお互いを睨みあった。
二人はいつも変なところで気があってしまう。
それにお手上げの奈々子は、とりあえずと思いテレビのリモコンでニュースをやっているチャンネルにつなぐ。

「だいたいリョーマは生意気すぎなんだよ。
私にも奈々子さんにもお父さんにもお母さんにも、それと先輩とか友達にも。」

「いーじゃん別に。」

「そんなんじゃ社会に出た時痛い目見るよ。」

「大きなお世話。
別に俺ずっとテニスするから関係ないし」

「ムッカつく!
だから他校の人からにも絡まれるんだよ!
あーあ、不二くんがうらやましい。
裕太くん、リョーマより可愛げあるもん。」

「だったら不二先輩んとこの子になれば?」

「あーあー!
なりたいならとっくになってますとも!」

「俺は一人っ子が良かったけどね!
うるさくなくてすむから!」

「うるさいのはそっちが突っかかってくるからでしょ!?」

いつも越前家の朝はこんな感じだ。
朝に限らず、学校でも夜の家ででもこんな感じだ。
仲が良い時は良いのだが、両方とも生意気なところが似てしまったらしい。

「俺もう部活行くから。
ごちそうさま。」

朝御飯を食べ終わったリョーマはイスから降りて自分の部屋にテニスのラケットなどの荷物を取りに行ったのだ。

「あら、もう行かれるの?」

「うん、少しでも強くなりたいしね。」

「気取ったこと言っちゃってさ。
あー胸糞悪い胸糞悪い。」

「姉ちゃんもバドの練習したら?
また補欠になっても知らないよ。」

「なりません!」

「はいはい」

なんでコイツはいつも勝ち誇った顔をしているのか。
名前はいつもそんなリョーマの顔が気に食わなかった。
これが弟特有の表情なのだろうが、なぜこんなにも生意気なヤツが女子にキャーキャー言われてモテるのかがわからない。

「名前さん、あれでもリョーマさん甘えたいとは思ってるかもしれませんよ。」

「・・それは私が一番よくわかってる。と思うけど。」

「フフフ、やっぱり似てますね。」

「似てない!」


 
 
 
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