松 夢小説

□女子の日
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仕事終わりのこと。
ふと、お腹に違和感を感じた。
そして腰もなぜか痛くなりだした。
「もしかして」と急いで帰りの電車の駅のトイレに駆けこむと、予想通りの「女子の日」であった。

「(早めに家帰って洗濯しないとだなこりゃ)」

トイレから出ると、急激な腹と腰の痛みに襲われる。
できることならば今すぐこの場に座り込みたいくらいである。
だが、後は電車に乗って家に帰るだけだ。
こうなることなら、薬を常備しておくんだったなと今更になって後悔をする。

いつもより来るの早くない?と自分の身体に文句をつけながらも、帰宅ラッシュ全開である満員電車の中で自分との壮絶な闘いをしつつも、自分の降りる駅まで目指したのだ。

「(うわぁ気持ち悪ッ)」

あの人混みプラスこの腹と腰の痛さと血があふれ出る気持ち悪さが合わさって最悪な事態となっていた。
帰る、と言っても駅から家までの距離というのはけっこうな程である。
だからといってもここでタクシーを使うのも…と考えればやはり歩くしかないのだ。

「(辛いなぁ。)」

お腹をさすりながら、早歩きで家までの最短ルートで帰っているのだが、頭がクラクラする。
二日酔いの感覚と似てる。
人気も少ないこの通り、誰にも助けを求めることもできずに1人で電柱に手をついて口元にもう片方の手で覆う。

もしかしてここで吐いてしまうのだろうか。

だせるなら早くだしたいのに中々上にあがってこない。
あぁ…本当に「女子の日」は厄介だ。
そう思っていると、誰かが後ろからポンっと背中をたたいた。
だが、振り返る余裕もあまりないために、無視するが如く無言で対応した。
すると、声がかかった。

「ねぇ、大丈夫?」

よく聞いたそのその声に目を横に動かすと、見慣れた赤いパーカーが視界に入った。

「お、おそ松?」

「そう、俺おそ松!
ってかなんかネーチャンが電柱に寄り掛かってるなーと思ってナンパついでに声掛けたら名前だったっていうね!
大丈夫ー?二日酔い?」

「おそ松と一緒にしないでくれる…?」

「じゃ、熱とかあんの?
最近さっむいからねー。」

「違う」

「じゃなんだよ。」

「女子の日だよ」、と口に出そうとした瞬間に今までになかったほど、腹の痛みが強くなる。
たまらなくなって「うぅ」と呻き声をあげて腹を手で押さえる。

「え、何?!えっ!?
もしかして生まれる?!陣痛?!」

「ち、ちが」

この場にチョロ松がいれば素早く良いツッコミをおそ松にかましてくれるのだろう。

「俺という男がいながら誰とやましいことしちゃったの!?
お兄ちゃん許さないからね!」

「(んなボケいいから助けてくれ)」

心叫びは呻き声と息が漏れる音になって口から飛び出る。

「名前、今の態勢からちょっとだけ変えられる?」

「ん?う、うん」

「しゃがんだままでいいからさ、左向いて。」

「うん」

「そんで、そんまま倒れて。」

「え、いいn「どうせもう限界なんだろ?」

その言葉に負けてドサっと倒れるように、身体から力を抜くと暖かい、おそらくおそ松の背中に受け止められる。あぁ、ちょっと楽だ。

「辛いかもだけど、腕を前にだして俺の肩に乗せて。
そのままブラーンってさせてもいいから。」

言われるがままに手をおそ松の肩にのせる。
そして手をブラーンとさせる。
すると、おそ松の「ヨイショ」という声とともに自分の身体がグーンと上にあがる感覚が感じられる。
両太ももにおそ松の両手が添えられているということは、きっとおぶってもらってるんだなぁと思いながらも寝るようにおそ松の背中に全体重を預けて、いつのまにか意識はとぎれていた。

 
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