松 夢小説

□妹とF6
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朝、学校の教室でダルそうにスマホをいじる名前は今日提出の数学の課題をやってないのにも関わらず手を出す様子は一切ない。
この際もう昼休みに詰め込んで解答みながらやるしかないと思っていると「もうださなんでも良くね。死なないし」というなんとも馬鹿な思考でツイッターを眺めていた。
流れてくるツイートはクラスの友人や中学時代の友人が彼氏とのツーショットをあげていたりメシを食いに行ったりそんな画像ばかりでスマホの画面を眺めるだけでも名前の精神はえぐられていく一方だ。

『彼氏なんてできるわけねーし、作る気もねーし、むしろいらねーし』

「アンタそんな強がったこといってるから彼氏できないんじゃないの。」

『なーにが付き合って1日記念だよ。
そんなに自慢したいかね、彼氏がいるってことを。』

「言いたいことはわかる。」

前の席に座っている名前のクラスメイトのおそ子は溜息まじりで言った。
だがしかし、彼女は既に違うクラスの彼氏とお付き合いをし始めたばかりだ。
名前のいつメングループの子らは何かと男がいて個人個人でよろしくやってるらしい。
名前は嫉妬することもなく、彼女達の彼氏話を聞くが共感できることは一切ない。

『あーあ、私にも早く彼氏できないかな〜』

「良い男の人紹介してあげようか?」

ぼやく名前に可愛くそう言ったのがトド子であるがその隣にいた一子が面白くなさそうに、

「アンタは人の彼氏すぐとるから信用できない。
名前、こいつ紹介の男だけとは付き合わない方がいいわよ。」

「え〜なにそれひどい〜」

『本気に好きになった人と言えば幼稚園の時の先生だったなぁ。
イケメンで優しくて…」

「わぁ、アンタまじで結婚できなさそう。」

『おそ子それどういう意味?』

そんなくだらない会話をつづけていると、朝のHR開始のチャイムが鳴る。
同時に担任の先生が教室に入ると賑やかな教室内は静かになる。
今日も一日冴えない学校生活が始まるのかと憂鬱な気持ちでいた名前だったがある6人の男の存在により、名前の学校生活は一変するものとなる。

「朝のHRを行う前に転入生を紹介します。
入ってきてどうぞ。」

担任のいきなりの転入生報告にクラスはざわめき始めた。
だが名前は転入生より今日の課題をどういいのがれしようかということで頭がいっぱいだった。
しかし、

「あ、やっと見つけた!!」

凛とした声が名前の教室に響きわたり、クラスの女子は「超イケメン!」「きゃーかっこいい!」と黄色い悲鳴をあげた。
転入生と言われるその人物はゆっくりと名前の席の隣でとまった。
名前はそれに気付き、その人物の顔を見上げる。

『え、』

「ここのクラスだったんだね、名前。」

赤くツヤのある綺麗な髪の毛、凛とした声、スラっとした体形、白い肌、目にしたものをすべて虜にしそうな瞳。
名前はそんな美形なイケメン転入生を見つめてポカーンと口をあけた。

『ど、どちら様ですか』

「やだなぁ。僕だよ僕。
お兄ちゃんの顔忘れちゃった?」

『も、もしかしておそ松兄さん?』

「そう、僕おそ松。
名前の正真正銘のお兄ちゃん。」

おそ松と名乗った男はニコっと笑うが名前は硬直した。
何故イケメン化した自分の兄がこんなところにいるのだろうか。
しかも制服はここの学校のものではなく赤くオシャレなブレザーをはおっていた。

『何その格好に顔!
歳は!?え、なにもうなに!!』

「落ち着いて名前。
今日、おそ松学園から公立の赤塚高校に転入してきたんだ。
みんな、名前は僕の妹だから仲良くしてあげてね。
妹ともども、僕のこともよろしくね☆」

おそ松の語尾の星とウィンクでクラスの女子はバタバタと血を吐いて倒れていく。
その光景に名前は慌てふためく。

『何この狂った空間!』

「彼は赤塚財閥の長男・さわやかジャスティス松野おそ松!」

『おそ子何言ってんの?!』

「名前、じゃあ行こうか。」

『行くってどこに』

「ついてきて。」

おそ松に強引に手を引かれて教室を飛び出す。
これから授業だよなんていうツッコミはもう名前はめんどうであえて口に出さなかった。
そして、おそ松に連れてこられたのは校内の誰もいない一本廊下。

『おそ松兄さんここで何するわけ?』

「よぉやっときたか。」

『今度は「ドンッ」』

今度は何、と口に出そうとしたとき名前は強い力で引き寄せられて背中が壁にあたる。
そして名前の顔のすぐ横にある壁にゴツゴツした良い腕が添えられている。

「待ってたぜ、名前」

青く綺麗な髪の毛、特徴のあるキレ眉、男らしい筋肉質な身体、野太い声の人物が名前に壁ドンをしていた。

『かっカラ松兄さん』

「相変わらずブスな間抜けヅラだ。
血がつながっている妹の顔とは思えねぇな。」

『いやどゆこと』

「彼は赤塚財閥次男・肉を肉で巻いて食べる肉食系肉の松野カラ松!」

『カラ子もうそれただの肉!!』

「まぁそういうことだ。
その唇、俺様に捧げる準備は良いか?」

カラ松は名前に顎クイをすると自身の唇を名前の唇に近づける。

『うわあああああやめろおおおお!!』

名前は渾身の力でカラ松を押しのけてその場から全速力で逃げる。
今回は不意打ちでカラ松から逃げることができたが、次捕まればもう逃がしてはくれないだろう。
取り残されたおそ松とカラ松は逃げていく名前の姿を見つめながら、

「とんだおてんばちゃんだね」

「フン、いっちょまえに反抗してきやがって」

と、つぶやいたのだった。

そして名前が逃げていきついた場所は校内図書館。
ここまでくれば追ってくることはないと一息ついていると1つの本に目がついた。
その本は若草色をした本であり、図書館内ではよく目立つ。
名前はその本を手に取らなければならない意味不明な唐突の使命感でその本に手を伸ばすが・・

『と、とれない…』

名前が手を伸ばしてもその本は高い位置にあって届かない。
すると、隣からその本をスっと取られて名前は『あ!』と声をだした。

「なるほど、ヒエログリフの翻訳本ですね。僕の妹ながら関心です。」

そう言って名前の頭を優しく撫でるのはまたしても兄だ。
緑色の綺麗な髪の毛、スラっとした手足、真面目そうなメガネ、頭の良さそうな脳みそを持った人物をみて名前は兄の名を呼ぶ。

『チョロ松兄さん、かな。』

「よくわかりましたね。
それと、数学の課題代わりに私が解いておきました。」

『え、うわっなんじゃこの公式…』

「おまけに円周率をズラっと記載させておきました。」

『どうゆうことなんだろうか。』

「彼は赤塚財閥三男・ビューティージーニアス松野チョロ松!」

『もうつっこまないよチョロ子』

「顔色がよろしくないですね。
保健室にでも行きましょうか。」

『え』

そういってチョロ松は名前を横抱きのお姫様だっこをして図書室から出る。

『おわああああ!自分で歩ける歩けます!!』

「着きましたよ」

『はやっ!』

ガラっと開けて入った保健室には制服の上から白衣を着た1人の男性。
紫色の綺麗な髪の毛、特徴ある眉、口数が少なさそうな顔、そしてなんちゃら王家の末裔の証である宝石が首から下げられている。

「どうした、顔色が悪いな。」

『え、誰』

「彼は赤塚財閥四男・ミステリアスクール松野一松。」

『これ一松兄さんなの!?』

「誰にやられたんだ。
俺が守ってやる。」

『いや誰にも何もされてない』

「そこのベットで安らかに眠れ。」

『それは天に召されろって意味?』

名前はベットの上に寝っころがると一松は名前と目が合うように覆いかぶさる。

『ち、近い』

「はっ!クソ、アイツらがきた!
すぐに逃げろ!」

『アイツらって誰!』

「此処は一階だ、窓から逃げれる。
俺のことはいいから早く逃げろ!」

言われるがまま、名前はベットから起きあがり窓から外に出る。
そして、すぐ背後から声を掛けられる。

「まーつの。」

『兄さんも松野だけどね。
あと"まーきの"みたいに言わないで。』

振り向けば黄色い綺麗な髪の毛に、綺麗なたれ目、特徴的な一本のアホ毛、細身だがよく鍛えられている身体の人物。

『アホ毛と順番的に十四松兄さん。』

「赤塚財閥五男・スイートプリンス松野十四松!!」

「僕のことも分かったところでさぁ行こう、僕のお姫様。」

『わ、飛んでる!』

名前は上にあげている両手を後ろから十四松に握られ宙を舞う。
宙の上で足を掛けてみるともはやハウル的な何かのようだ。

「僕は今十四松パンなんだ!
ほら見てごらん、人がゴミのようだよ」

『そのビジュでそれいうのやめて。
てかジブリ的な何かなのこれ。』

「僕、もう暑くなってきた…」

『は?
うわっ十四松兄さんあたってる!!』

「何が?」

『何がってナニだよ!
なんで空飛んでるのにたっちゃうの!?』

「あぁ駄目…僕、限界!」

『ちょっと待って落とさないで!!』

十四松の体力の限界で名前は校舎の屋上目がけてまっさかさまに落ちていく。
このままじゃミンチだ、と名前は目を固く閉じる。
が名前はミンチになることなく誰かに抱かれて受け止められる。

「大丈夫?
僕が受け止めたから安心して。」

桃色の綺麗な髪の毛、くりんとした瞳、可愛いアヒル口、あざとい萌え袖、この人物は。

「赤塚財閥末弟・キューティーフェアリー松野トド松!」

『トド松兄さん…よく受け止められたね。』

「フフフ、僕だって男の子だよ?
一緒にアカハライドでも見ながらお昼にしようよ。」

『女子力!』

「え、アカハライドじゃ嫌?
だったらとなりのけも松くんと花よりみたらし男子もあるけどどっちが良い?」

『いやなんでも「あ、ほっぺにオリーブオイルがついているよ。」どうゆうこと!?』

「僕が舐めてあげるね」

そういうとトド松はオリーブオイルがついた名前の頬をチロっと舐める。

「オリーブオイルの味だ、ね?」

『いや、ね?って言われても。
そりゃオリーブオイルだから、ね!?』

「抜け駆けは駄目だぞトド松」

「あぁ、このブスな妹は俺が一人占めする」

「彼女のお兄ちゃんは私だけで十分です。」

「いいや俺だ。」

「譲れないね、僕だけの妹だよ!」

「名前はみんなの可愛い妹だよ。」

『よくわかんないけどみんなイケメンになってる…』

兄6人が屋上に集結すると、学年クラス関係なく女子がこぞって集まり彼らに対して黄色い歓声をあげている。
動揺している名前の後ろには彼女がよく知る人物がもう1人。

「名前、彼らは不二夫のFをとって通称F6と呼ばれているの。
今や知る人ぞ知る超人気のアイドルグループでもあるの。」

『と、トト子ちゃん!
トト子ちゃんも全然ビジュ違うね。』

「凄いじゃん名前!
まさかF6がお兄さんだなんて!
これなら彼氏ができないのも納得よね。」

多くの女子達にまぎれておそ子たち女子松がF6ではなく名前に対して黄色い歓声を贈る。
周りの女子の中には「あれがF6の妹?」「モサクない?ダサくない?」などと言いたい放題言われているが兄達は、

「おらブス共!
俺の妹に手出したり傷つけたらどうなるかわかってんだろうな!」

「陰口悪口はあまり気持ちの良いものではありませんね。」

「大丈夫だ、名前は俺が守る。」

「僕のプリンセスは汚させないよ!」

「名前を苛める子は僕嫌いになっちゃうからね♡」

「ね、わかったでしょみんな。
名前は僕らの大切な妹なんだ。
だから僕達のいいつけ、守ってくれるよね?」

おそ松はウィンクをかますと、ほとんどの女子は鼻血と吐血で屋上は血の海になる。
そして名前の隣にいたトト子も鼻血を盛大にかましてぶっ倒れた。

「あぁぁぁりがとうございまぁぁぁす!」

『あ、トト子ちゃんが死んだ…』

「さぁ、邪魔はいなくなったよ。
そろそろどの松が名前のお兄ちゃんにふさわしいか決めようよ。」

「異論はねーぜ!」

「そうですね。」

「俺が選ばれる運命だ。」

「僕を選んでくれるよね!」

「どの松になっても恨みっこなしだよ?」

『え、えーと…』

「「「「「「どうぞ、お好きな松を!」」」」」」

F6は名前の目の前で跪き、6人同時に手を差し伸べる。
名前はこの狂った空間に対してのツッコミを全て忘れて最高の優越感に浸っていた。
爽やかな長男、ドSな次男、頭の良い三男、クールな四男、優しい五男、可愛い末弟。
全てがそろった史上最強の六つ子が自分の兄になって名前はこれまでにない逆ハーレムを味わっている。

『嗚呼神様!
私は今世界で一番幸せな妹ってことですか?!
この兄さん達となら今まで憂鬱だった学校生活も最高にジャスティスでマーベラスなものになります!!
神に感謝、兄さんに感謝!全てに感謝!
今夜は最高!!!』

名前はそう心で叫びながら、F6に抱きしめてもらおうと彼らに思いっきりダイブをした時だった。

ゴチンッ

『はっ!』

何かにおでこをぶつけ、名前は目を覚ました。
我に返り起きあがるとそこはいつもの自分の部屋。

『え、あれ…えふしっくすは?』

「ん、お前なに言ってんの。」

『爽やかジャスティス』

「は?」

『じゃ、ない…』

「寝ぼけてんの?」

名前の隣には爽やかジャスティスではないただの長男・おそ松が立っていた。
名前は自分の見ていたものが夢だと分かると酷く落胆した。

『夢かよ〜〜も〜〜!!』

「どんな夢だったんだよ。
今もう昼の2時でーす。
俺も今起きたから一緒に昼飯食おうぜ!」

そういうとおそ松は寝起きの名前を起こして強引に手を引いた。
名前はこれであのイケメンなおそ松兄さんだったらな、と密かに残念ながらも夢でのデジャヴを感じつつおそ松と茶の間に向かったのであった。


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