松 夢小説

□肉食系肉の攻略法U
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珍しく、私はカラ松と喧嘩をした。
些細なことであったが、めずらしくカラ松もお怒りであったのだ。
だからといって簡単にこっちから謝れるわけでもない。
こっちにもプライドというものがある。
でも、本音を言えば早く仲直りしたくてしょうがない。

おそ松達から聞いたことだが、彼は自宅でも少し機嫌が悪いらしい。
が、「カラ松も本当は仲直りしたいハズだ」と言うトド松の言葉を聞いて、カラ松も私と同じことを考えているんだと思うと安心した。
お互い少しだけ素直になれないだけだ。
次会ったらちゃんと謝ろうと考えているあたりからして、私のプライドは相当低いのだろう。

そう思いながらも歩いていると、聞きなれた声が突然後ろから聞こえたのだ。

「名前」

少し期待して慌てて後ろを振り返ると、私は落胆した。
今…いや普段でも私が一番見たくない人物であったからだ。

「よぉ、ブス」

イケメン化した松野カラ松。
私の天敵であり、私の愛する人。
カラ松であって、カラ松ではない。
よくもまぁイケメン化という特技を生かして私の所にやってこられるものだ。
こっちには必勝武器があるのだから…と、いう私の心の言葉がどうしようもないクソな「フラグ」を立てていることを、私は知る由もない。

「こんなチンケな場所、ブスのお前にはお似合いだな?」

「うるさい!」

「んだよ、その顔は。
期待してるって顔じゃねぇかよ。」

「お前に期待なんてしてない。
自意識過剰男。」

「相変わらずの減らず口だな。
まぁ、お前には壁ドンくらいがお似合いだな?」

私はいつも通りの彼の動作に身構えることもせずにされるがままにボーっとしていた。
するといつもより壁に押し付けられている時の腕をつかむ力が痛い気がした。

「お前、反省はしてるのか?」

「喧嘩のこと?
してるよ。」

彼と目を合わせたくなくてつい目を伏せる。
すると、カラ松の手が伸びてきて顎クイなるものをされて顔をカラ松の方へ強制的に向かせられる。

「おいブス、こっち向け。
反省してんなら行動で示せ。」

「…は?」

信じられない。
これだから嫌なんだ。

「私も喧嘩の件は反省してる。
だから次にカラ松と会ったら謝ろうと思ってた。
けど、その自分が悪くないみたいな顔しないで、カラ松。

「…わかった。
俺も謝る、悪かったな。
乱暴にして…喧嘩のことすぐ謝れなくて…」

「ううん」

私はその言葉に安堵して、ふぅと一息つく。
するとカラ松は私を優しく抱きしめ、耳打ちをした。

「と、でも…言うと思ったか?」

彼の発したその一言のおかげで、私は精神に大ダメージを食らった。
その後のことは何も考えてたくなかった。

 
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