松 夢小説

□女子の日
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目が覚めると、自分の家の見慣れた天井…ではなくあまり見慣れない天井があった。
そうか、おそ松に運ばれたんだ。
ここ何処なのだろうと、身体を起こそうとすると、腹の腰の痛みに再び襲われる。
起き上がることもままならなく、そのまま天井を見つめていると、ヌっと可愛らしい顔が視界にはいる。

「あ、おはよ!
おそ松兄さーん、起きたー!」

「ト、トド松…?」

「どんだけ寝てんの…夜更かししすぎ」

この声はきっと一松である。
顔が見えなくても不機嫌そうな低い声でわかる。

「一松、病人にキツいこと言わない。
大丈夫?カイロ買ってきたから温めてね。」

きっとその横にいるのはチョロ松だ。
カイロ買ってきてくれたのか…さすが。

「起きれる?」

「うん」

ゆっくりと起き上がると、トド松、チョロ松、一松が周りにいた。
ここは松野家か、と今更だが納得する。

「フッ、起きたかカラ松girl」

「え、カラ松兄さんなにそれ」

「何って…決まってるだろ。
天界から伝わる聖なる料理と、黄金の果実だ。」

「おかゆと梨でしょ?」

「フン、人間界ではそうとも言うな。」

「クソ松黙れ」

きっとカラ松が作ってくれたおかゆと、剥いてくれた美味しそうな梨が綺麗に皿にに盛りつけられている。

「チョロ松兄さんあったー!!」

「あぁ、ありがとう十四松…ってこれ正露丸!!」

「あれー違ったー?」

「名前ちゃんはそっちの腹痛じゃないから!
あるでしょ、その…違う薬が!」

「あれぇ?
シコ松兄さん、月経って単語も口から言えないの?さっすが童貞。」

「黙れトッティ!!」

「あぁ!生理の薬かぁー!」

「ちょっと十四松、名前ちゃんいるのに堂々とそんなこと」

「大丈夫チョロ松。
もうみんな知ってるんでしょ?
私気にしてないから、ありがとう」

「…そっか。」

「男6人に囲まれてる中で、生理だ!って言われて平気にいれる女ってどうよ?」

「やっときたーおそ松兄さん。」

いつもなら「はぁ?」と言ってやってる所だが今はなんと言われても言い返せるような気は全くない。

「本当はさぁ、名前の家まで直接行きたかったんだけど名前俺の背中で爆睡してたし鍵だすのもめんどくさかったから俺ん家直行しちゃった。」

「おそ松兄さんそうやって、やましいこと考えてんじゃないのー?」

トド松の言葉に「んなわけねぇだろ!」と言葉を吐く。

「とりあえずさ、カラ松のつくったの食って薬飲んでラクになったら俺送ってやるからそれまで此処でゆっくりしてきなよ。
ハハ、因みに今度何か奢ってねー。」

「うわー、おそ松兄さんセッコー」

たしかにおそ松がいいそうなことだが、今回ばかりは感謝の気持ちしかない。
おそ松のそーゆうのは今に始まったことではないし。
カラ松の作ってくれたおかゆを食べながらそんなことを考えた。

「おそ松」

「あ?」

「おぶって運んでくれてありがとうね。
感謝する。」

「…まぁ、あんなに辛そうにしてたらほっとけねぇしな。」

「あっれぇ、おそ松兄さんそんなこと言って本当は照れ隠しなんでしょ?」

「は!?バッカ違ぇし!!」

「フン、これが恋の歯車ってヤツか…」

「は?!んなわけねぇし!!」

「そんなことないでしょ?!」

カラ松の言葉におそ松の反論と私の反論がハモる。
それでまた一層互いで恥ずかしくなってしまい、おそ松と顔を合わせた後すぐ互いに目をそらす。
それにニヤニヤしている他4人の六つ子の視線が妙に恥ずかしかった。
気まづく微妙な空気をタイミングよく、ぶち破ったのは十四松であった。

「あったどぉー!!」

「あ、十四松兄さんおかえり。」

「たっだいまっする!
はい、名前ちゃん薬と水ねー!!
これで名前ちゃん元気だしてね!」

「ありがとう十四松」

「あれー、名前ちゃんって生理なんじゃないの?なんで顔真っ赤なの?
やっぱり熱ー?」

「え?!」

「ってゆうかおそ松兄さんも生理!?熱?!
スッゲー顔真っ赤〜!!」

「余計なこと言うな十四松!!
それに俺は生理はなんねぇし!」

「おそ松兄さんやっぱりぃー?」

「やっぱりじゃねぇよトド松!!」

「え?じゃ名前ちゃんを家まで送るの僕変わってあげよーか?」

「それは俺がやんだよ!!」

それからしばらくの時間は、この騒がしい松野家でおそ松と気まづくなりながらも案外楽しい時間を過ごすことができた。
おそ松に家まで送って貰うのだと考えて頭がおかしくなりそうだったが少し「期待」というものが自分の中にあることを気付かないフリをして六つ子の輪の中に溶け込んだのだ。
生理の日も中々悪くはないじゃないかと思ったのはこの日が初めてであった。


チョロ(ねぇ、なんかサイダーの匂いしない?)

トド(たしかに)

名前(ねぇ、十四松が持ってきてくれた薬さ、なんか甘くてシュワシュワした)

十四(あっれえ?)

一(それ薬じゃなくてラムネじゃね)
 
 
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