その目に映るのは

□呼ばれた訳は
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―――――プシュ・・・ウ







新幹線が駅に停車したと知らせるアナウンスが車内に流れると錫杖を背中につけホームに降りる



人の多い東京でも僕の荷物は錫杖と財布、スマホぐらいなものやからスムーズに歩くことができる





電車とバスを乗り継いでやっとこさ、目的地である正十字学園に着くことが出来た





『えーと・・・どこやここ』





中に入ってからが問題やった
相変わらず迷路みたいやなぁ、ここは







あ、あかん。もうホームシック
しょうがない、帰――――





「待ちなさい。ここまできて何帰ろうとしてるんですかあなたは」


『家が恋しくて』


「弟妹ラブもいい加減にしなさい。こっちです。学園長室で話します」





京都出張所の僕が正十字学園にいる理由――――――それは先日の手紙が原因やった



手紙が届いてると任務明けの柔造が部屋にいた僕に持ってきた



包みがピンクなために何となく予想を立ててはいたけど差出人はやはりメフィストさんやった




その内容は正十字学園に来いというものだった




訳が分からないまま学園長室の前に着くと、メフィストさんは自分のイスの上に座り僕は机を挟んでその前に立
っている





「・・・・藤本獅朗を知っていますか?」



『あぁ、藤本さん!?知ってる!今度飲みに行く約束してたんよ!』



いつものとおり大きな声を出すとメフィストさんは眉間にシワを寄せて珍しく怒っているようにも見えた




『メフィストさん怒ってはります?』



「・・・実は、あの男・・・・死んだのです」



『・・・・え?』





今何て言うた?藤本さんが死んだ?あのしぶとくて強い藤本さんが?




メフィストさんは嘘を着いてるようには見えない。つまりは、本当だと言うことか





「原因は、サタンがあの男に憑依したことによるものです」



『サタンが憑依したって・・・扉が開いたゆうことか。それで力の強い藤本さんが狙われて・・・、それを伝えるために僕をここに?』



「それもありますが、預かりものをあなたに渡すためでもあります」


そう言うとメフィストさんは胸ポケットから小瓶のようなものとアメが入った袋を取り出した








「あの男からのプレゼントだそうですよ」




『あ・・・誕生日』




そう言えば数日後には僕の誕生日が控えている



暫く会ってなかったのに、忘れてなかったのか。あの人は・・・・



「わざわざ私がそちらに行くのも疲れるのでね、あなたを呼び寄せてもらいました」



『ありがとうございます・・・』






礼をして部屋を後にする
そして扉を閉めて出た、溜め息




『そうか・・・亡くなりはったんや・・・』




・・・・ぁあ、もう止めや。落ち込むのは性に合わん。帰ろう






「あの」



『はい?』


声をかけられた先には眼鏡をかけたホクロがたくさんの少年がいた



「あぁ、やっぱり。お久し振りです。以前一度だけご一緒に仕事をさせていただいた奥村雪男です。覚えていらっしゃいますか?」



『あーーー、雪男君!あの時は助かったよ、ありがとうなー!』



「いえ、志摩さんの迅速な指示のお陰です。僕は何も・・・」



雪男君は若くして祓魔師になった天才で、既に中一級の肩書を得ている



相変わらず謙遜の上手な子やなーー




「志摩さんはどうしてここに?」



『あーー・・・・まぁ色々あるんよ大人には!』




言ってもいいものかと迷ったが、思い出したくもないだろうと出掛けた言葉を引っ込めた



雪男君が不思議そうに僕を見ているけど気づかないふりをする






『あ、そーいえば。廉造はどない?ちゃんとやってるん?』



「あぁ、志摩君ですか?まぁ決して真面目ーーとは言い難いですが・・・うちの兄よりは優秀ですね」


『燐君やっけ?ちろっとだけ見てもええ?祓魔塾』



「構いませんよ、志m『ストップ。』?」



『弟と紛らわしいやろ?下の名前でええよ』




そう言うと申し訳なさそうに、口をモゴモゴとさせながら少し小さめの声で言った僕の名前




「行きましょうか、雄造さん」



『はーーーーい』






廉造元気やろか・・・




 

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