小部屋の片隅で
□奈落
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俺がパッセージリング前に居るなんて知るはずもないヴァンとイオン、そして“ルーク”は楽しそうに笑いながら降りてきた。
バカだよなぁ。これから裏切られるのに
面白くて可笑しくて俺は笑いを噛み殺すのに必死だ。
これから救われる奴等には到底味わえないこの幸福感、この優等感
ヴァンと目があった。
すげぇ形相でこっち睨んでやがる。
「お、お前っ!?」
『ようヴァンデスデルカ…会いたかったぜ』
ヴァンだけではない、イオンもルークもすげぇ顔だ。
「な、なんで俺がそこに居るんだよ!!」
『俺がお前で、お前が俺だからだよ。もちろんアッシュにも言えることだけどな
哀れだなぁレプリカルーク。お前もそんな奴に捨て駒にされるなんて、さ。』
「な、何訳わかんねぇこといってんだ!」
訳わからない?あぁ、そういえばこのときはまだレプリカの事知らなかったっけ。
やっぱり面白くて笑いを噛み殺すのに必死になってしまう
そんなことを考えていると、上から複数の足音が聞こえた。
とりあえず近づいてきたレプリカルークを“救って”やるか
「おいお前……」
俺は腰から剣を抜き、ルークの喉を掻き斬ってやった。
温かい鮮血が溢れだし、赤い雨をその場に降らす
「貴様何を」
でけぇ声で叫ぶんじゃねぇよ。うぜぇ
反射的に俺はヴァンの喉を貫いた。
血が吹き出し、綺麗な放物線を描く
あいつらが来る前に救われたら困るんだけど……別にいいか。
ちらっとイオンを見ると青い顔してガタガタ震えてる
ははっ…あいつは可愛いやつだから“本当に”救ってやってもいいな。
まぁ返答次第だけど。
そんなことを考えていると目の前にかつての仲間が現れた。
これで舞台に上がる役者は揃った
愉しい“物語”を始めよう
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