小部屋の片隅で
□劣化複写人間
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「君はレプリカだ。劣化複写人間
出来損ないの代用品が、何故生きているの?」
「う、うるせぇ!なんで…お前みたいなキモい奴にそんなこと言われなきゃいけないんだよ!」
周囲の視界が歪む。
しかし、ソレの姿だけはなぜが鮮明にはっきりと見ることができた
身体中を駆け巡る恐怖
魔物や人間を殺めるときとは違う恐怖が身体を蝕む
「君は『ルーク』の全てを奪った
名前も姿も居場所も人生も、光までも奪った。
君に全てを奪われた聖なる焔の光[ルーク]は、聖なる焔の燃えカス[アッシュ]になるしかなかった。
レプリカのくせに人間気取りの出来損ないめ。
君はどう足掻いても誰にも愛されず一人孤独に死ぬ運命なんだ」
ルークの瞳から静かに涙が流れていく
ルーク自身は気づいていないのか拭おうともしない
ソレは静かに近寄り、ルークの髪を一束掴み上げてキスをする
「でも安心して。ぼくが君を愛してあげる
ぼくだけが君のすべてを愛することができるんだ。
君ハぼくノものダヨ」
頭ではソレを否定するが、心が揺らぐ
虚ろな瞳がソレを見つめ、そして弱い心はソレを受け入れてしまった。
「サア、誰モ拒マナイ世界ヘ
ダレモキミヲセメナイ
ミンナガキミヲアイシテクレル」
ソレがニヤリと不気味に笑うと同時に、ルークの意識は闇に落ちていった