小部屋の片隅で
□悪ノ召使
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期待される中、俺達は生まれた
《双子》として。
俺達の誕生を祝福する教会の鐘が響く
でも、大人の勝手な都合で俺達の運命は二つに引き裂かれた。
一人は王子、一人は召使として生きるために
この事実を知った日から、俺は例え世界の全てが君の敵になろうとも
俺が君を守るから、君にはそこで笑っていてほしいと願うようになっていた
そしてこの事実は限られた一握りの人間だけしか知らない。
「おやつの時間だ」
王子が無邪気に笑いながら時計を指差す
俺はいつも通りの時間に昨日とは違うおやつを差し出す
「ん。食わないのか?」
「王子と並んで食べるなどできませんので」
「その言い方やめろよアッシュ!俺達は…」
「失礼します。」
アッシュとは俺の名前だ。
俺と王子は生まれたときは双子の兄弟だった。
王子の名前はルーク。俺の弟にあたる存在
とても無邪気で気ままな困った王子
気に入らない人は処罰し、今にも国内は反乱が起きそうな重い雰囲気が漂う
でも、
ルークは王子
俺は召し使い
運命を別つ哀れな双子
君を守るそのためならば…
「お、俺達は何も言っていない!」
「王子を愚弄した罪、死を持って詫びるがいい!」
俺が君の代わりに
悪にだってなってやる。
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