もう一つの世界
□第一預言
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『…辻馬車追っいはじめて15分けいかー』
緊迫した艦内に緩んだ声が響いていた。
その声を聞いた兵士が慌てて軍艦の速度を更に上げる。
「…何ですかその緊迫感一切皆無の声は…」
溜め息を付きながらジェイドが隣に座り込み呟く。
『だってさ、15分だぜ?
これだけでかい軍艦なのに?
つーか譜術で攻撃した方がはや…』
その時、タルタロスの目の前に違う辻馬車が現れた。
「まずいですねぇ」
レイクと同じくらい緊迫感のない声を出しながら、ジェイドは指揮官席に居るレイクを押し退け辻馬車に声を送る。
「そこの辻馬車道を開けなさい
巻き込まれますよ!」
ちょっと緊迫したジェイドの隣から何とも言えない声でレイクが呟く。
『邪魔するならひいちゃえば?
“第三師団長率いるマルクト軍艦 無関係な辻馬車を…”こっちの方が面白そうだし』
艦内に居た兵士が先程より更に慌てて辻馬車を避ける。
軍艦を外から見ると、進む方向が綺麗に90度折れ曲がった。
『…漆黒の翼…橋を落とすつもりらしいな。どうするんだ?』
声だけを横に送ると、ジェイドは楽しそうに
「何とかしてください」
といい、レイクは溜め息を付きながら
『タルタロス緊急停止!更に魔法障壁発動!』
そう言う。
不思議な文字の書かれた青色の巨大な魔方陣が現れ、そして────
橋が砕け散った
『で、エンゲーブかよ。』
二人は結局漆黒の翼を逃してしまい、エンゲーブに立ち寄って居た。
「まぁ食料の買い出しも兼ねて、兵に休憩を与えようと思いまして。」
『なるほど』
納得がいったようにレイクは相槌を打つ。
『…そう言えばイオンは?』
きょろきょろ辺りを見回しながら先程まで傍に居たはずのイオンを探す。
するとツインテールの導師守護者が、イオン様ーーー!!??と叫びながら慌てて駆けていった。
「まぁイオン様はアニスに任せて大丈夫でしょう。
それより私たちは町長に会いに行きましょう」
ジェイドがそう言い、二人は町長であるローズ婦人宅へ足を運ぶ
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