もう一つの世界

□第五預言
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『ったくよー…人が真面目に話してるのに…』


結られた髪をほどきながら、レイクはぶつぶつ文句を言った。

「おや、とってしまうんですか?似合ってい『似合ってたまるか!』



溜め息を吐き、レイクは煙草を取り出す。



「禁煙」



頭上から降ってきた言葉に顔をしかめ、煙草を再びポケットにしまった。




「まぁ…あと少しの辛抱ですよ。
アニスの話が本当なら、あと10分位で着く筈ですから」



10分かぁ…

そう呟きながら、レイクはベッドに倒れ込んだ。



そんな時、ジェイドが珍しく遠慮がちに話しかける。



「…もしも自分が自分でなかったら、どうします?」



『…何かあったのか?』



上半身を起こして、覗き込む形で見ると
困ったような目をしたジェイドと目があった。




「いえ…我ながら馬鹿な事を聞きました。
…忘れてください。」



ふ〜ん…

そう言ってレイクは再びベッドに沈んだ。



その時船体が大きく揺れ、レイクとジェイドは咄嗟に廊下に出た。


『…敵襲…って訳でもなさそうだな。』


構えていた銃をホルスターに戻し、レイクが呟く。



「…外ですかね」



ジェイドがそう言い、二人は無言で甲板に向かった。



















「俺…一体何が…」



「超振動が発動したのだろう。」


呆然としているルークを宥めるかのようにヴァンが話す。


そんな二人のやりとりを、物影に隠れながらジェイドとレイクは聞いていた。



『超振動…やっぱりそうか。』




「おや、何やら確信を持ったような顔をしてますね。」



ひそひそと話す二人。


「お前は自分が誘拐され、七年間も軟禁されていた事を…
不思議に思った事はないか?」


ヴァンは真剣な眼差しでルークを見据える。


「それは…父上達が心配して…」


おどおどしながらルークは答える。
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