小部屋の片隅で
□裏切者の末路
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爽やかな風が窓から吹き込み、長椅子で仮眠をとる少女のツインテールを揺らす
風になびく美しい黒髪はゆらゆらと振り子のように揺れ、やがて止まった。
窓を閉めたのは緑色の髪を持つ導師イオン
眠っている少女は導師守護役
いつもと変わらない風景。
いつもと変わらない風景?
「……ぇ?…イオンさ、ま?」
人の気配に気づいた少女は目を擦りながら眼前の少年を見つめる。
「どうしてイオン様が…!?」
驚きの声をあげる少女
「アニスお久しぶりです。
急で悪いのですが旅に出るのですが、ついてきてくれますか」
導師は優しく微笑みながら少女へと近づいていく
「───…違う!あなたはイオン様じゃない!
悪趣味なことはやめてよ!」
そこにいたのは確かに導師イオン
しかし、少女は知っている
「なぜです?僕はイオンですよ」
「ちがう…違う!!
あんたがイオン様なわけない!だってイオン様は…」
導師イオンはすでにこの世にいないことを。
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