もう一つの世界
□第二預言
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二日前に起きた第七音素の超振動はキムラスカ王国王都方面から発生
マルクト帝国領土タタル渓谷付近にて収束―――
「超振動を起こしたのが貴方達ならば、不正に国境を越えてマルクト帝国領内に侵入したことになります。」
タルタロスの一室にジェイドの声が響き渡る。
イオンは何かを言いたそうにそわそわし
ティアは落ち着きを保った様計らう。
ルークは相変わらず不機嫌丸出しでジェイドの隣に立つレイクを睨んでいた。
『…で、ティアが神託の盾騎士団の人間だと言うことは判った。
じゃぁルーク、お前のフルネームは…?』
今まで睨まれて居た事もあり、少し目を細めて強くルークに尋ねる。
一瞬怯んだルークだったが、すぐに腕を組み、傲慢な態度で答える。
「―――ルーク・フォン・ファブレ
お前らが誘拐に失敗したルーク様だよ」
「ファブレ!!!…キムラスカ王室と姻戚関係にあるファブレ公爵のご子息と言うわけですか」
ジェイドが驚き、アニスが後ろで
『公爵?ステキ☆』
と言っている中、誰にも聞こえない小さな声で、やっぱり… と呟いていた。
その後、イオンが自分達の置かれた現状を告白し、戦争を止める手助けをして欲しい事をルークに告げた。
ジェイドが言うに、その地位は非常に好都合なのでその権力を貸して欲しい。との事だ。
「…話はわかった。でもよ…人にモノ頼む時は頭下げんのが礼儀じゃねーの?」
ルークはやはりレイクを睨みながら怒鳴る。
「ルーク!調子に乗らないで!」
『はぁ…わかったよ』
小さく溜め息をついて頭を下げようとした時、レイクよりも早くジェイドが頭を下げていた。
「どうかお力をお貸しください。ルーク様。」
イオンとレイクが驚きの声を上げていると、ルークが渋々了解すると同時にジェイドが立ち上がりいつもの胡散臭い笑顔を振り撒いていた。
(ほーんと…良い性格してるよな…)
口に出さずにレイクはただ苦笑いを浮かべていた。
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