もう一つの世界

□第一預言
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暗い闇の中に二人の人間が意識を失っていた。


一人は闇に映える赤い髪をしている少年。


一人は薄い茶色が闇に消えてしまいそうな長い髪の少女。


回りにはモンスターが集まり始めている。
しかし二人に起きる気配はない。





鳥の鳴き声が止むと、それを合図としたかのようにモンスターが二人に襲いかかる。


あと数cmでモンスターの爪が二人を切り裂ける所まで来た時、闇に紅い光が放たれ────








刹那、彼らに近づいたモンスターは一匹残らず息の根を止めた。



『…まさか…こいつ…!!??』



紅が驚いた様に声を放った時、赤い髪の少年が唸り声を上げる。




風が吹いた。



赤い髪の少年と薄い茶色の髪の少女が目を覚まし、辺りを見渡す。




しかしそこには誰も居らず、ただ血に染まったモンスター達が横たわっているだけ…。


少年と少女が困惑の声をあげながら、足早にその場を去って行った。


再び訪れる静寂


誰も居なくなった暗闇から再び紅が出現し、呟いた。




『ルーク…そうか……あいつが…』



タタル草原に強い風が吹いた。




そして暗闇は静寂を取り戻す。















『―…ったく…どいつもこいつも人を邪魔者扱いしやがって…』



一人の青年がしゃがみ込み、風に髪を遊ばせ呟いていた。



慣れた仕草でポケットからタバコとライターを取りだし、火を付ける。




『だいたい、何で俺がお前の副官みたいな立ち位置になってんだよ…』



斜め上を睨むように見ると赤い瞳が面白そうに細められた。



「おや、そんなに嫌ですか?淋しいですねぇ。」



『…淋しい訳ねぇだろ。
つーか本当にあり得ねぇ…最悪だ…』



そう呟き、青年はタバコを深く吹かした。



「レイク…私の軍艦は禁煙ですが。」



『あぁ!?別に良いじゃん。外なんだし。』



まったく…あなたらしいですね。
そう言って赤眼の男は優しく微笑んだ。





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