もう一つの世界

□第十三預言
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プスプスと視線が刺さる。

視線に紛れながら、時折殺気も感じる。




『……なに?』


「いいえ、別に」



真顔、しかも棒読みで答える。




イニスタ湿原へ入ったばかりの時─────ルークやナタリアが傍に居た時は笑顔で

タチの悪い魔物に出会わないことを祈りましょう。

等と話していたがルーク達が先に行き、ナタリアを気づかいガイが休憩を提案し、二人きりになると一切無言の不機嫌顔になっていた。



『なに?もしかしてバチカルん時の事怒ってんのかよ』





レイクが若干イライラしながら尋ねると、ジェイドは顔を隠しながら、別に。と答える。



『あのさぁ、言いたいことあるならさっさと言えよな』



はぁ、と溜め息を吐きながら一人休憩をしている仲間を横目に先へ進む。



何気なしに横を見ると、黒く巨大な魔物がレイク目掛けて走ってきていた。



迎え撃つつもりで剣と銃を構える。




銃口を魔物に合わせ引き金を引こうとした時、急に真横から誰かに吹き飛ばされる。




『なっ!!ガイ!?』




「無理だ!こいつはベヒモス…討伐隊ですら倒せなかった魔物だ!」




『これがベヒモス!?』




紙一重で攻撃を交わしながら伸ばされているジェイドの手をとる。

しかし足場が安定していないため片足が沈み、体制を崩して湿原へ突っ込んでしまう。


どすどすと足音を立ててベヒモスが近づくが、アニスがラフレスの花粉を撒いてベヒモスが怯んだ隙に、仲間達は一斉に逃げる。









湿原に足をとられてなかなか動けないでいるレイクを見たジェイドは腕を上に引き上げ、身体が浮くとそのまま肩に担ぎ上げて走り去った。





『じぇ…ジェイドっ!!降ろせー!』


「あれだけ泥濘にはまって動けない人が何を言うんですか!!」





バタバタと暴れるレイクを強く押さえ、ジェイドは先に湿原を抜けた仲間を追う。



あと少しで湿原を抜けられるところまで来た時、ベヒモスが再び追いかけてきた。



しかし湿原の出入口にはラフレスの花が咲いていたため、それ以上は追い掛けてこない。




ある程度距離をとり、ほっと胸を撫で下ろす。




『あの…ジェイド、降ろして?』



湿原を抜けたのにも関わらず、ずっとレイクを担いで更に歩き出すジェイド



仲間が苦笑いを浮かべて見送る。



『うわー!!卑怯者ーーーー!!!』



そう叫ぶレイクの声が虚しく木霊した。





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