小説

□Obstinate Me
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「ベクーっ!好き〜♡」


「な…//はなしてよっ!」






チャニョラはいつも
こうやって僕をグッと引き寄せて
ギュッと抱きついてくる。




そして
いつもこのやりとり。








チャニョラが僕のことを
……好きなのは知ってる。




僕にとっても
チャニョラは
メンバーとして友達として
大切な人だし…



イヤかイヤじゃないかは
僕自身もよくわかんないけど……





それでも

いくらなんでも
しつこいよぉっ!!////






僕がいないとダメだってくらい
僕にべったりだし

何をするにも必ず僕の隣には
チャニョラがいるし……。





人目も気にせず

僕に抱きつくし…///






もうっ!
本当に困ってるんだからっ!!///








ーーーーーー




今日は中国である番組の収録。





だから韓国から
たくさん乗り継いで
来たんだけど…



やっぱりどこでも
僕の隣にいるのはチャニョラ。



なんかもう慣れちゃって
なんとも思わないけど、



隣の席で
「ベク、好き〜♡」とか
言われると



やっぱ
「もうっ…うるさい!///」



とか言うのは変わらずで。






********





番組のステージ裏、
全員集合して
それぞれが最終チェックを
している時、





「ベクー♡頑張ろーなっ!」




またチャニョラが
グッと僕を引き寄せて
顔を近づける。







……周りにメンバーも
スタッフのみんなもいるのに…っ///






「ちょ…やめてよっ!///
何考えてんの!?ほんと迷惑!!
いつもいつも…っ
しつこいよっ!!!!」








ーーーー周りに人が
たくさんいたこともあって


思わず強い口調で言い放って

チャニョラを突き離してしまった。








ーーーあ……言いすぎた……?





みんなが僕らを見てる。







「ベ…ベッキョナ……

いくらなんでも
言い過ぎじゃない…かな…?」






スホヒョンが
恐る恐る話しかけてくる。





でも……後になんか引けない。








「…っいいの!
いつもの事なんだからっ!!」





強気にそう言うことしかできない。









「ーーーーーわかった。」






えーー……?





「もう…ベクの"迷惑"に
なるようなことしないから……」









チャニョラが俯いてそう言った。






「ふ…ふーん!あっそ!」







…驚いた。
チャニョラがあんなこと
言うなんて…。






でも…



よかったじゃんっ!?



これでちょっとは
わかってくれただろうし!!?



たまにはここまで
言わなきゃねっ!!!!









……みんな僕らを
心配そうな目で見ていたけど



収録開始の合図があったので
それぞれいろんな思いを抱えて
収録に向った。





********






収録は滞りなく進んだ。




みんな気持ちを切り換えて
楽しく収録していた。





ーーーー

あるゲームの罰ゲームで、
チャニョラのチームが負けたので
僕らのチームの誰かを
それぞれ選んで

お姫様抱っこしながら
スクワットをするってのがあった。







ーーーーーチャニョラは
ぜったい僕を選ぶにきまってるよ。







さっきはあんなこと言ったけど
あれくらいで
メゲるヤツじゃないし!




そう思って、チャニョラが僕を
一番に抱き寄せるのを
待ってたのに……








僕を抱き寄せたのは



……クリスヒョン。







えーーーーー………なんで……?






そう思い、
チャニョラを見ると





チャニョラが選んでいたのは



ーーーーーギョンス。









どうして………?



なんで僕じゃないの………





どうして……………







「ほらベッキョナ!
抱き上げるから捕まれよ?」






………ダメだよ、これは収録。







どうして笑えないの?



笑顔じゃなきゃ、笑ってなきゃ…





無理やり笑顔をつくっても



心の中は穴があいたみたい……。








ーーーー何?


この気持ちは何……?













収録が終わっても、
チャニョラは僕に
抱きついたりなんかしない。




普通に楽屋に戻り
他のメンバーと話をしながら
楽屋を出て行く。






………ステージ裏でのこと
怒ってるのかな……




迷惑だって言われて
傷ついたのかな……






頭の中は
チャニョラのことでいっぱい…。







それに……



僕は何より
僕の気持ちがわからない。









ーーーー何なの。



別に…チャニョラが僕を
選ばなくたって
いいんじゃないの……?



しつこいって思ってたんじゃ
ないの……?




どうして
笑っていられなかった……?



どうして
こんな気持ちになるの……?









気づいたらみんな楽屋を出ていき
残るは僕ひとりになっていた。






そしたら今までずっと
溜め込んでいたものが
溢れ出るように……



涙が頬をつたった。















ーーーーー本当は全部、
わかってるよ。






こんな気持ちになるのが
どうしてなのかってこと……。





楽屋の鏡に映る

僕の泣き顔。








「ねえ……お前……


そんな顔して泣くほど…


チャニョラのこと……

好きだったの……?」








ーーーーーーバカみたい。




今更気づくなんて……。




人目を気にして
あれほど突き離しといて……。




チャニョラがいないとダメなのは
僕の方じゃん………。







……もう…どうしたらいいの…?



嫌われちゃった?


もう僕に抱きつくことはないの?




二度と"好き"って
言ってくれないの……?







涙が…後から後から溢れてくる。









「…ヤダ……っ

ヤダよぉ…っチャニョラ…っ!」











「……なに……?」





ーーーーーー!!?







振り向くと

ドアの前に


チャニョラが立っていた。












「え…ベク…?


なんでひとり!?

……なんで泣いてんの!!??」






チャニョラがすごく驚いて
僕に駆け寄ってきた。




思わず僕に腕をのばした
チャニョラだったけど


やっぱり…

抱きついてはくれない。






ーーーーー違うんだよ
チャニョラ……






………僕は初めて
自分からチャニョラに
抱きついた。







「!?…ベク…ちょっ…」


「ヤなの…っ!!」






驚いているチャニョラに構わず
僕は続けて言う。






「チャニョラが…
僕以外の人を選ぶのがイヤ


僕の隣にいないのがイヤ


僕に……ギュッて
してくれないのがイヤ!」







「なんで!?
……迷惑だったんじゃ…」






「迷惑なんかじゃ
なかったの…っ!

ぜんぶぜんぶ…
気づいちゃったの…っ!!」







チャニョラが
震える声で僕に聞く。






「それって……

ベクも俺のこと….
好きってこと……?」





すごく恥ずかしかったけど





抱きついたまま僕は下を向いて


……うなずいた。






「マジで…!?///

なら俺もベクのこと……
ギュッてしていい?」






「…っあたりまえでしょっ////」








ーーーーーチャニョラが僕を
強く抱きしめる。






暖かい……すごく。



いつもすぐに抜け出そうと
してたから気づかなかったけど


チャニョラの身体って


こんなに大きいんだ……





今まで全てが近くにありすぎて
僕はなにも知らなかったんだね……



チャニョラのことも


僕の気持ちも……。












「ベク…顔みせて…?」




ずっと
下を向いて抱きついていた僕に
チャニョラが言う。






「……ヤダ」



「え?…どうして?」




「……泣き顔
見られたくないもん」






そう言ってみるけど



すぐにチャニョラに
クィッと顔を
上げさせられてしまう。






「ヤダ…っ///見ないでよぉっ」




ただでさえ恥ずかしいのに……







「なんで……?

ベクの泣き顔
こんなに可愛いのに?」






「ーー!!?////」







……返す言葉が見つからないよ…。









「ダメ、可愛いすぎ…

俺……我慢できない…」







チャニョラはそう言うと

僕の唇にキスをした。









ーーーすごく驚いたし
恥ずかしかったけど…




チャニョラとの初めてのキスが
あまりにも甘くて

クラクラした………。











「…っはぁっ///…チャニョラ…」



「…ねぇ、ベク」





チャニョラがもう一度
僕を抱きしめる。





「これからは…
ベクに何言われても……

こうやって
ギュッてするけど…イイ?」







……ほんと恥ずかしいよ///





でも……

僕が抵抗したとしてもね




それはきっと……

ただの照れ隠し。







だから……僕がイヤがっても




その時は……







「うん….ギュッてして…?」





きっと

おとなしくなっちゃうから。







Fin.

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