からふるでいず
□ラストチャンス
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幸村部長が、消えてしまったあと、俺は柳先輩たち、レギュラー全員を部室に集めた。
幸村部長のロッカーはあの日のまま。
俺は言われた通り、ロッカーの中にあった手紙を取り出した。
封筒には、幸村部長の綺麗な字で、ひとりひとりの名前が書いてあった。
俺も、手紙を読み始めた。
・*・*・*・*・*・*・*・
俺は最後の一枚をめくった。
今までありがとう。
最後にこれだけ言いたいんだ。
“赤也、あとは任せたよ”
切原部長…。
・*・*・*・*・*・*・*・
あとは、任せたよ…。
俺の記憶はひとつに繋がった。
あの時、幸村部長が言ったのは、これだったんだ。
きっと今日の試合でもこれが言いたかったんだ。
さっき泣いたのに、また涙が溢れて来た。
「赤也、ありがとうな」
柳先輩に言われ、涙をジャージの袖で拭うと、顔をあげた。
そこには涙を流す柳先輩。
柳先輩の言葉の意味はわからないけど、柳先輩の顔は、何処かすっきりした様に見えた。
ほかにも、全員が、何処か吹っ切れた様な表情をしていた。