からふるでいず
□ラストチャンス
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「はぁっ、はぁっ…」
幸村部長、やっぱ、強ぇよ。
「赤也、そんなんじゃ、三連覇出来ないよ」
「まだまだっすよ、部長」
立ち上がって構える。
ーシュトッ
「…っ!」
俺の横をボールが通り過ぎた。
「赤也、こんなものかい?」
「ヒャッハハハッ…潰す!」
俺はナックルサーブを放った。
「はっ!」
ードシュッ
「5−0、五感を奪うまでもないかな?」
「まだだっ!」
「赤也、」
・*・*・*・*・*・*・*・
結果、試合は負けた。
「あり、がとう、ございまし、たっ!」
「ふふ、赤也が俺を超える日が楽しみだな」
「幸村部長、あの時、最期、何ていったんすか?」
「……答えなら、今日の試合かな。強くなったね、これなら大丈夫かな?…俺がいなくても」
「意味わかんないっすよ……」
「俺、まだ生きたかったよ。みんなでバカやって、笑って、泣いて、喧嘩して、全国三連覇だって…まだまだやりたいことたくさんあった。死にたくなかった…」
「幸村…部長っ…」
「ははっ、やだなぁ…最後は、泣かないつもりだったのにな…やっぱり、みんなと、離れたくない、よ…」
幸村部長の目から涙が零れる。
「ごめん、赤也……もう、時間みたい…これで“さよなら”だ……」
よく見ると、幸村部長の体が透け始めていた。
「幸村部長っ」
俺は慌てて手を伸ばしたけど、その手は空を切った。
「今まで、ありがとう」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」