からふるでいず
□ラストチャンス
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赤也side
鳴り響くクラクション
耳を劈くようなブレーキ音
何かがぶつかった鈍い音
「幸村部長…?なん、で…」
口の水分がなくなって、上手く声がでない。
「幸村くんっ!」
「幸村っ!」
「幸村、部長っ…」
血に染まる、俺の手。
体温を失っていく幸村部長の手
力の入らない手で俺の手を優しく握って言った。
「あ、かや…____」
嫌だ…っ。
・・・・・・・
「…ッ」
何時の間にか、寝てしまったらしい。
隣には柳先輩と真田先輩。
周りを見れば、仁王先輩に丸井先輩、柳生先輩にジャッカル先輩。
やっぱりいない。
1人、足りない。
「起きたか…」
「柳先輩、」
「泣き疲れて寝てしまったからな。弦一郎が運んでくれたんだ」
「そう、っすか」
柳先輩はいつもの涼しい顔で、俺の頭を撫でた。
「辛い、な。…赤也、我慢しなくていい」
柳先輩の声…。
泣いてる?
下向いてるからわからないけど。
柳先輩も辛いんだ。
いや、柳先輩だけじゃない。
真田副部長も、仁王先輩も、柳生先輩も、丸井先輩も、ジャッカル先輩も…。
「………」
俺ばっかり泣いてられない。
ダメじゃないっすか…幸村部長がいないと、悲しむ人、いっぱいいるんすよ?
幸村部長、帰ってきてくださいよ
わかっているのに、叶わないと知っているのに、願ってしまうんだ。