炎の蜃気楼/直江受
□告白の予感
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ある日、直江は何日も帰って来ない高耶を心配して、高耶がいつもいる不良グループのたまり場に様子を見に行った。
するとそこで高耶が仲間達から暴行されている場面に遭遇する。
「高耶さん…!!」
直江は勢いよく扉を開くと高耶に向かって行く。
「な…直江!?なんで?バカ!!く…来るな!!」
高耶の顔は痣だらけで体のあちこちにも内出血が見られる。
「あなた達…高耶さんになんてことを!?」
高耶のまわりにいる不良達が一斉に振り向いた。
「おまえは何だ!!」
「なぜこんなことをするんです!」
「…おまえには関係ないだろう!こいつは俺の女を逃がしたんだ」
「ちが…あの子はおまえの女じゃないだろ!女子高生を監禁して何日も家に帰さないなんてひどすぎるだろ!」
「黙れ!」
不良グループの一人が高耶の顔を殴る。
「高耶さん!!」
直江が静かに不良達を見る。
「あなた達は俺を本当に怒らせたようですね」
直江は近くにいた不良の一人を殴って倒した。
「おまえ!何するんだ!」
「さぁ、来なさい!」
不良達が直江に襲いかかるが、直江は不良達の拳を軽々とよけ地面に沈めて行く。
「あなた達は絶対に許しません」
直江は最後の一人を倒すと、高耶の元に駆け寄る。
「高耶さん…よかった…」
少し息が上がった直江は高耶を抱きしめる。
「あなたを失わずにすんだ」
直江は高耶の無事を確認して安心したのか涙を流していた。
「大袈裟なんだよ」
高耶は直江の広い背中をさすって安心させようとしたそのとき…。
「ゆるさ…ねえ…おう…ぎ…」
高耶の背中でキラリと光るものに気づいた直江は咄嗟に高耶の向きを変えさせ反対側に押しやった。
「…っ!?」
直江は背中に熱いものを感じて振り返る。
不良グループの一人が直江の背中を刺したのだ。
「直江ぇぇぇ!?」
直江は背中に痛みを感じながらも、刺した不良に向き直ると渾身の力で相手を殴り倒す。
「もう二度とこの人に近づくな!!いいな!!」
そう言うとぐらりと沈む直江を高耶が抱き留める。
「直江!直江!!直江ぇぇぇぇぇ!」
泣きじゃくる高耶を朦朧とする意識の中で見る。
「高耶さん…大丈夫…大丈夫ですから…なかな…で」
直江はそう言うと意識を手放した。