炎の蜃気楼/直江受

□晴れときどき
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このことは誰にも言わないで下さい。
お願いします。
あなたと私の二人だけの秘密にして。



「なあ」

「ん?」

「直江課長ってどんな人?」

大手銀行に勤める仰木高耶は高校を卒業して今年入ってきた新入社員だ。
同じく同期で入ってきた成田譲と高耶は気が合うようで、よく行動を共にしている。
時刻はもう夜の9時を回っていたが、二人は残業で会社に残っていた。

「直江課長?うーん、そうだな。完璧な人ってかんじかな。
めちゃめちゃ気が利くし、優しいし、仕事できるし、上司にも部下にも女子にも男子にも人気があるし、全くスキがないよね。
この前、直江課長が結婚したときは会社中の女子が屍になってたもんな」

「ふーん…」

「なんでそんなこと聞くの?高耶、普段人に興味ないじゃん」

「いや、別に」



高耶は昨夜のことを思い出していた。



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