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□喪失
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もしも世界が滅亡したら…考えるだけで途方もない。
ましてや地球上のあらゆる生物が一瞬にして居なくなるなど考えると少し恐かった。
「2012年12月22日…。」
柳の呟きは真田の耳にも届き隣で昼ご飯を食べていた真田がどうした、と聞いてきた。
「22日に何かあるのか?」
「…預言だが、その日は地球滅亡の日となっている。」
「そうなのか…?」
真田は目を見開いて驚くものだから預言自体知らなかったらしい。
実際柳も知らない方がよかったかもしれないと思った。
「たかが預言だ。」
「…う、うむ。」
柳は端から信じていないが真田は逆に腑に落ちないような何とも神妙な顔をしていたので柳はどうしたのかと首を傾げた。
「もし明日滅亡したとして蓮二は1日をどう過ごすのだ?」
「はは…愚問だな、弦一郎。」
「?」
「1日をどう過ごすかなんて決まっているじゃないか。その日1日はずっと弦一郎と過ごす…片時も離れずにずっとな。」
真田は心がきゅんとなるのを感じると同時に顔を朱に染めた。
帽子を目深に被り顔を隠す。
「…弦一郎はどうするんだ?」
わざと意地悪く言う柳に仕返しとばかりに柳の頬をつねりながら
「愚問だな。」
と言った。
もちろんその日1日は柳と一緒に過ごすというのは言うまでもない。
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