第1幕

□黒ノ魔術師 1章
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『ねぇ、待ってって言ってんじゃん!』

私は車道を全力疾走している。
目の前には高級そうな車。

『だから無視しないでってば、』





そこではっと目が覚めた。寝汗をびっしょりかいていて気持ち悪い。

この夢は病気が発見されたころから数え切れない程見ている。見すぎて何かの暗示ではないかと思うくらい。

だが、どうしても続きが思い出せない。絶対に見ているはずなのに、思い出そうとすると頭が痛くなったり吐き気が込み上げてくる。あの車に乗っているのは、とっても大切な人だった気がするが―――
(ま、いっか)
忘れるほどのものなのだ。きっとそこまで重要なことでは無いだろう。

私は伸びをして1日の活動を開始した。
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