BLEACH

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月は雲に隠れ、私から顔を背けた



止めど無く私の手から流れ落ちていた血は
乾燥して肌に付き、赤黒くなっている

ようやく笑いもおさまり、くっ付いたガラスの破片を取る
皮膚も一緒にはがれ、血がにじむ


口元が緩んだのが自分でも分かった


痛ければ痛いほど、
私の心の悲しみはくすんで分からなくなる

更にガラスの破片を両手に取り
今度は胸と首に突き刺す


『っ………フフッ』


先ほどより多量の血が私から逃げる

痛い…

痛い…

もう一度、

もう一度…


血まみれになった胸がじんじんと暑い

ぐちゃぐちゃになった胸に
また、口元が緩む



私からは血が流れなくなり
目の前が揺れる



再び顔を出した月は

“さようなら”と嬉しそうに微笑んだ






――あぁ、気持がいい――






『さようなら』

私は月に返事をした

暗い空には雲も無く、風も無かった
あるのはただ
私をあざ笑う月だけ




馬鹿な私は
泣いている事に気づかない




まるで私は
月明かりの下、
貴方と言う糸で踊らされる


“狂ったピエロ”











月は笑う
可哀想ね、と


月は笑う
可笑しいわね、と


月は笑う
さようなら、と



















私は泣いた
愛してた、と


















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