BLEACH

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貴方がいないと
胸が破裂しそう

狂おしい程の愛を私に頂戴


*******


『ねぇ、ギン。』

「何?」

『愛してる』

「解っとる」


普通の恋人同士の会話


私は貴方を愛してるけど
貴方は私を愛してるの?

不安でしょうがない
だって、貴方が私を抱いている時に
あの人の名前を呼ぶんだもの

確かな愛が欲しいの
ただそれだけ

なのに
貴方の愛は曖昧で
また、不安になるの

『ギン、愛して』

「十分愛しとるよ」

苦笑いで言葉を返す

なぜそんな顔するの?
もっと優しく微笑んで
心から
私に愛していると言ってよ


『ギン、』

「やから何?」


ただ名前を呼んだだけで怒る
そんなに私が邪魔?
そんなに私が嫌い?

…そう

『さようなら…』

「は?」


間抜けた顔さえ愛しいはずなのに
今の私には苛立つ元になるだけ


私は静かにその場を立ち去った







・・・・・





私は現世の奇麗な夕焼けの見える丘に来ていた
今はこっちで言う春の季節で、奇麗な草野原が広がっていた

金色に染まった風が、野原の草が、
私に寄り添うように揺れる



私はその場に座り込み、俯いた
新しい草の緑色の匂いが鼻をくすぐる



ねぇ、ギン
そんなに私じゃなくて
あの人が好き?大切?

なら、
はじめから私に優しくしないでよ
近寄らないでよ
好きなんて言わないで

そんなに私が邪魔?
じゃあ早く私の前から消えてよ
それが無理なら
私を殺してよ



この苦しみを味わうのはもう嫌なの
貴方だってそうでしょ?

好きな人が
自分を抱いて居る時、
自分の横で寝ている時、

全部全部、
私と貴方の時間なのに
自分じゃない名前が出てくるの

苦しいの
悲しいの
切ないの


どうしようもないの
心に穴が空いた様に心が
寒い


どうしたらいいの?
私が貴方から手を引けばいいの?
ねぇ
どうしたらいいの?

お願い
答えてよ












ごめん・・・



ごめんなさい・・・ギン


解ってるの…解ってる
私の我が儘に付き合ってくれてるんでしょ?

ごめんなさい

ごめんなさい…


それでも
醜い私は貴方が好きなの



だから
もう、
終りにするから


最後に


嘘でいい
少しでいい

私をちゃんと見て
私を抱きしめて



何もかも投げ出して
私が欲しいと叫んでよ








・・・ギン…っ!









私の目からは
水色の飴玉のような大きな涙が伝っていた


『ふぇ…・・ごめ、ん・・・なさっ…い』


さわさわと、
私の鳴き声をかき消すように
草が大きく揺れた



草が長いから、きっと私は埋もれて見えない

このまま埋もれて
見えなくなったら良いのに

この汚い心も隠すように
埋もれてしまったら良いのに



野原の中

優しい光と
暖かい緑の中で

私は久しぶりに
心地よく眠った











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