星の道標

□さらりと勝敗つくわけで
1ページ/1ページ




 青峰くんとさつきと共に育館へ着くと涼太くんがこっちに気付いたのか近くまでやって来た


「青峰っち、ついに俺と1on1してくれるっスか!!」

…犬?と疑いたくなるほど彼がゴールデンレトリバーのように見えた
前世は犬か何かなのだろうと確信してしまうほどに…


「ちげーよ、コイツと勝負すんだよ」


と言って私を指さす
人のこと指ささないでよ…と少しイラッとしてしまう


「え?」


間抜けな声を出す涼太くん
かなり動揺しているようで、もう一度私たちに聞いてきた


「優里愛っちが青峰っちと勝負…?」

「「うん/あぁ」」

「え゛ぇぇぇぇぇ!!」


別の場所にいたキセキのメンバーが涼太くんの大声に気付き私たちの元へやって来た


「青峰くん…」


テツヤくんが青峰くんを見るなり暗い表情をしていた
理由はわからないが、2人には何かあるのだろう
そして、緑間くんはそんな二人をお構いなしに「黄瀬、うるさいのだよ」と言って注意する


「だっ、だって…優里愛っちが…」

「星那、どうやって青峰を連れてきたんだ?さつきでも無理だったことをこなすとは思ってみなかったよ。なぁ、テツヤ」

「はい、一体どうやって連れてきたんですか?」

「確かに気になるのだよ」

「俺も聞くー」


涼太くんのことは総無視でそろそろと私を囲む
青峰くんが練習に全く来てなかったんだなぁと実感した


「そこじゃないんスよ!驚くところ!!」

「十分驚くことですよ」

「黒子っち、そうじゃないんス!!」

「じゃあ、どういう事なのだよ」

「優里愛っちが青峰っちと勝負するって言ってるんス!」

「「「「え?」」」」


4人は硬直した状態になってしまった
赤司くんまで驚くとは思わなかったよ…


「コイツと賭けしたんだよ、俺が勝ったらもう練習しねーってな」


「ほぉー」と赤司くんが低い声で言うと悪寒がした


「誰がそんなこと許可したんだい?ねぇ、星那」


ひぃ――っ!!後ろからとてつもない威圧感がする…!!
怖くて後ろ向けない


「でっでも私が勝ったら、今後一切練習サボらないって約束したんだよ!」


一瞬その場が静寂に包まれる


「、今すぐその勝負を取り消してくるのだよ」

「真太郎に同意だ」


赤司くんも緑間くんも私に青峰くんとの勝負をさせる気はないらしい
計算高い彼らのことだ、私の勝算は0だと感じているのだろう
だけど私はマフィアなのだ、一般人とは違う…何十回も死線を乗り越えてきた
だからこそ私は負けない


「やだよ」

「なっ!星那、一体何を言ってるのだよ」

「我が儘なのかもしれないけど、私は勝負する!!」

「…負けたらどうするんだ」

「負けないよ、赤司くん。私強いから!」


「そうか」と言って少し笑っていた
「赤司!」と緑間くんが止めようとしていたが、どうやら二人とも了承してくれたらしい
他の3人はもともと乗り気たっだので問題はなかった
…バスケは体育の時にしかしたことないけど何とかなるだろう
その後、赤司くんの気遣いで体育館を半面使わせてもらった


「俺から一点でも取ったらお前の勝ちでいいぜ」

「わかった…でも青峰くん、私を普通の女の子と一緒にしちゃだめだから」





――――そして勝負が始まる

青峰はすぐに勝敗が決まると思っていた…もちろん自分の勝利で
だが実際は違った、青峰がダムダムとボールをドリブルして優里愛の横を通り過ぎようとしたとき、優里愛は青峰からボールを奪ったのだ
それも、青峰が気づかないうちに…


「なっ!?」


青峰は状況を把握できずにいた…それもそのはず、今まで誰よりもバスケで強かった彼が自分よりはるかに小柄な、しかも女に易々とボールを奪われたのだ
その間に優里愛はゴールネットに向かっていき点を入れた
どうやら、6人も驚いていたようで「青峰っちが負けた…?」と言って唖然としていた
何はともあれ、すぐに勝負はついてしまった
青峰ではなく優里愛の勝利で…
未だに驚いている青峰くんに声をかけた


「私の勝ちだよね、青峰くん!1点でも取ったら私の勝ちって言ったのは青峰くんだから、約束通りこれからは練習に出てよっ!」

「…もう一回やるぞ星那、さっきは油断してただけだ」


ムスッっとした顔で優里愛に言ったが「約束は有効だよ!だって、勝負の世界に待ったはなしだからね!!」と言った


「――っ!わーったよ、だから俺と1on1しろ」


最初から横暴だと感じていたが、負けてもその横暴さは変わらなかった
まぁ、今後練習に出てくれれば私が赤司くんに怒られることはないので問題はないんだけどね
さつきや緑間くん、そして赤司くんを押し切ってまでやったのだから結果がついてこないとシャレにならない…何にせよ結果オーライってことで!




――――――――――
―――――――
――――



その後、優里愛と青峰の体力が尽きるまでバスケをしたとかしなかったとか…




――――――――――――――――



「優里愛、ありがとう!大ちゃんがバスケを楽しそうにやってるところなんて久々に見たよっ!!」

「よかった、さつきの彼氏だもんね!!そりゃ喜ぶよね!!」

「優里愛?大ちゃんは幼馴染みなんだけど…」

「えぇぇぇぇぇ!!幼馴染み!?」

「うん、アレ…?言ってなかったっけ?」

「初耳だよっ!!」



――――さらりと勝負つくわけで――――







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ