星の道標

□勝負に男女は関係ない
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優里愛はひたすら階段を駆け上がった

本当にここであっているのか不安になる

だって、ここ立ち入り禁止って書いてあるよ

赤司くんが「桃井と青峰は屋上にいる」と言っていたので確かではあると思うが…

ここで時間をつぶすわけにもいかず、そろりそろりとドアを開けると、さつきの声が聞こえた




「大ちゃん、今日こそ練習に出てよ!!」




大ちゃん…?

とても親しげな様子だ

さつきは青峰大輝と付き合ってるのかな!!

やっぱり、優里愛も女の子なだけあって恋愛沙汰は気になるのだ

自分の色恋には疎いのだけれど…

そんなことを考えつつ、2人の会話に耳を澄ませた




「うるせーなさつき、俺が練習しても意味ねーだろうが」




先ほどさつきが言った言葉に反抗する青峰大輝

練習しても意味がないって…彼は本当にエースなのだろうか…?

彼の顔を見たいのだが、さつきの顔しか見ることができない

別に隠れているわけじゃないけど、なんとなく入りずらい雰囲気だ

少しだけ身を乗り出そうとした瞬間




「つーか、お前誰だよ」



頭上から声が聞こえたので、恐る恐る上を見上げるとさつきと話していた声の主、青峰大輝が私を見ていた



「うわっ!」



普通、女の子は「きゃっ」とか言うのだろうがそんな場合でもなかった

気づかない私も私だが、テツヤくん然り、青峰大輝然り、気配に気付くことができなかったことはいかんともしがたい

相手は偵察対象だが、あくまで一般人なのだ

これは守護者としてあるまじきことだろう

どうしよう、今度風に修行つけてもらおう!…

リボーンだと命の保証がなさそうだし

青峰大輝のことはお構いなしに考え事をしていると、さつきがやって来た




「優里愛!!どうしてここに!?」

「赤司くんに2人を迎えに行ってくれって頼まれたから来たんだ」




「赤司くんが!?」と驚いているような怖がっているような、そんな表情をしていた



「おい、無視してんじゃねーよ」




あからさまに不機嫌な様子の彼



「私は最近1軍のマネージャーになったばかりの星那優里愛だよ、青峰くん」




「ふーん」と言って上から飛び降りて私の方へ歩いてきた




「赤司くんがさつきと青峰くんを迎えに行くように頼まれたの、だから体育館行こうよ」

「めんどくせー」




大あくびをしながらけだるそうに言う青峰くんにさつきが「大ちゃん!」と強い口調で怒った




「弱いやつばっかりで、つまんねーんだよ」




…さっき口癖が出てしまった学ランの彼の姿が脳裏に浮かぶ

そっか、全てではないがきっと彼らは似ているんだ

恭弥もそうだが青峰くんは素直じゃないだけなのかと思いつつ、彼にこんな提案をしてみた




「青峰くん私とバスケで勝負しない…?」





「は?」




予想通りの反応だった

さつきも驚いてるし…あ、目が点だ




「私が勝負で勝ったら今後練習は休まず出ること!」

「はっ、男でも俺に勝てないのに女に負けるわけねーよ、俺が勝つに決まってんじゃねーか」

「逃げるんだね青峰くん、100%勝つ自信がないから」

「ちょっと、優里愛そんなこ「いーぜ、その勝負乗ってやる」




さつきが止めに入ろうとしたが、案の定簡単に挑発に引っかかり私の申し出た勝負に乗ってくれた

青峰くんって割と単純なのかも…





「俺が勝ったら、一切練習に出ろなんていうんじゃーねぞ」

「わかったよ、じゃあ、体育館に行こうよ」




青峰くんはさっき男が勝てないのに女が勝てるわけがないって言ったけど、男尊女卑の時代はとっくに終わってるんだよね

こうなったら、とことん思い知らせてあげる!!






――――――――――――――――――



「優里愛、青峰くんと勝負なんて…」

「心配しないで、さつき」

「え、でっでも…」

「私は絶対負けないから、大丈夫!」

「それってどういう…こと」

「まぁ見ててよ、私の勇士を!」








―――勝負に男女は関係ない―――










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