暴れろ馬鹿共
□髪の毛1本
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「――……わかったか」
「いや、わっかんねーよ!!何一人で終わらせてんだよ、読者様困るじゃねーか!!」
荻の言葉に洋のツッコミが炸裂する
どうしてこんな状況になったかというと事の発端は30分前、荻が事務所に来たことから始まった
「荻さんこんにちわー、仕事の依頼ですかー?」
「あぁ、洋と優里愛はいるか?」
「いないです、帰ってください。用があっても帰ってください」
「…助手」
優太くんが笑顔でそう言うと、冷戦がはじまる…
圭は身の危険を感じて「い、い、今呼んできますねっ!!」と言って、逃げるように台所へ向かった
冷戦は続いているが荻はソファに座り、料理を作っているのか…と考えながら、優太くんから炊飯器にダイレクトに入れられたお茶を飲んでいた
『荻、久しぶりだねー!』
「元気にしてたか」
台所から出てきた二人は荻を硬直させる
赤と茶色が特徴の二人が今は全身真っ白なのだから驚くのも無理はない
「……お前ら、本気でヴァレンティーノを殺る気なのか」
「このばかっ!俺は七匹の子山羊狩る狼じゃねーよ!!」
『そうだよ、洋は肉食じゃなくて雑食だよ!』
「つっこむとこ違う!しかも、雑食も子山羊食べれるからっ!!」
意味の分からないボケとツッコミが飛び交う
これがいつもの日常だから仕方がない…
『洋が小麦粉ぶちまけちゃったんだよ…だからあれほど気をつけろと言ったのに』
「優里愛がぶちまけたんだろ」
「『あ゛ぁ?』」
「『優里愛だろ!/洋でしょ!』」
ここでも喧嘩が勃発してしまう
荻と優太くんの争いよりはるかに危険度は低いが重要なことを忘れてはならない
「ちょっと、2人とも!この小説最初の1話から喧嘩するだけで終わらせないでくださいよ!!ただでさえ、この小説は作者の突然の思いつきと気合だけで出来てるんですから、いつ終わりが来てしまうかわからないんですよ」
大人の事情(作者が未成年とかそういうツッコミはいらない)をさらりと言ってしまう圭…これでは、ボケとボケ。何の相乗効果ももたらさない。
「すみません荻さん、せっかく来てもらったのに。本当は荻さんにお菓子作ろうとしてたんですよ」
圭は申し訳なさそうな笑みを浮かべた
「―――そうか」
そういうと荻は洋と優里愛の喧嘩の仲裁に入り、無造作に二人の頭を撫でた
ふいに頭を撫でられ終始困惑した二人だが、すぐに状況を把握する
「ありがとう、2人とも」
「べ、べ、別に荻に喜んで欲しかったとかそんなんじゃねーからな!勘違いするなよっ///」
『そっそうだよ!頭撫でてもらって嬉しいとかそんなこと思ってないんだからね///』
「ツンデレっ!!?」
洋と優里愛が照れて頬を赤らめ下を向いていると、ギリッと歯ぎしりのような鈍い音が圭に聞こえた
「……優太…く…ん…?」
荻がいるだけでも不愉快だと感じているのに敬愛する二人がその彼に夢中なのだ
腹立たしさを感じて、お得意の吹き矢を向けた
「優太くん!ストップ、ストップっ!!」
「大丈夫だよ、圭君。今回のは神経毒だからすぐに仕留められるよ…」
「そういう問題じゃないよ!」
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数分後、一段落つき、圭は肝心なことを荻に尋ねた
「荻さん、仕事の依頼ってなんですか?」
「「『あ』」」
「全員忘れてたのかよ!!!」