☆中編
□二人の距離感
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「何よっ!乱馬のバカッ!」
「けっ!オレはホントの事を言っただけでいっ!」
「っっっ!乱馬なんか、大キライ!」
「ってぇ!」
「ふんっ!」
あかねはオレに、お得意の平手打ちをおもいっきりお見舞いして、そのまま部屋に戻っていった。
「そりゃ、乱馬くんが悪いわ」
オレ達のやり取りを見てた、なびきがテレビのリモコンを片手に居間から頬ずえをついて呟いた。
「オレは悪くねぇ!」
「あらそう。でも、あかねには謝って来た方がいいんじゃない?前も同じような事、あったでしょ?」
「・・・」
なびきはリモコンをピコピコと押しながら、オレに忠告した。
あかねのバカ。
あかねがまた胸が大きくなった、なんてウソをつくから、小さいままじゃねぇかって言っただけなのに・・
無防備にもアイツがムキになって、む、む、胸を強調するから、見たくねぇってなった訳で・・・
「やっぱり、悪くねぇ」
「・・・好きにしなさい。でも、早く仲直りはしときなさいよ。こないだもケンカ長引いて大変だったんでしょ」
「・・・」
確かに、こないだは一週間も口聞かなかったっけ。
あれも、そもそもあかねが・・
ったく。謝りゃいいだろ?オレ様が!
いやっでも、こないだもオレから謝ったし。
「けっオレは部屋に戻る!」
「ちょっと知らないわよっ・・・」
なびきが何か言ってるのをムシして居間から遠退いた。
よーく考えたら、いつもオレばっか謝ってんじゃねぇか。今日だってあんな所で胸を強調されたら、オレどうすりゃいいんだよっ?見りゃいいのか?それとも、さ、ささ、触りゃいいのか?
くっそっ!オレの気持ちも考えろってぇの!なびきだって居たんだぞ。ちょっとは回りを気にしろってんだ!
あかねの、バカヤローッ!
「おい、あかねっ!」
オレは気付くとノックもせず、あかねの部屋の扉をおもいっきり開けてた。
「きゃっ!?」
「あっ」
な、なんてタイミング・・
あかねは多分着替えの途中だったらしく、その、ぶ、ぶぶっブラジャー姿・・だった。
「な、なんなのよ?」
お、おいおい、顔を赤らめて胸を隠す姿が、か、かわいいじゃねぇか。
「わ、わりぃ。だから、その、あ、あかねがオレは、その、来て、謝って、だろ?」
やべぇ。言葉になってねぇ。
「な、何が言いたいのよ?」
足元の服を拾って胸元を隠しながら赤い顔でじっと睨らむあかねに、見ないようにしても、つい目で追っちまう。
「だからだな、その、謝まりゃぁいいんだろっ!」
「何よっ!悪いなんて思ってないクセして」
「クセも何も、お前だってムキになってただろーがっ!それを、オレから謝ってやってんだぞっ」
「な、何よそれ・・やっぱり悪いのはアタシなのね」
「ち、違う!オレはただ、お前の態度が、目のやり場に困るんだよ!」
「・・どういう事?アタシなんか見たくないって事でしょ?」
「ば、バカヤロー!だ、だから、オレも男だぞ!」
いいいい、いっちまった・・・
これじゃ、オレがあかねのちちを見たいってるじゃぁねぇかぁぁぁぁ!
まぁ、そ、そうなんだが・・・
「・・・当たり前じゃない?乱馬は男でしょ?」
「・・え?」
「乱馬の事、水を被っても男って思ってるわよ!」
なんつーか話、替わってねぇか?
はーっ。もういいや。緊張して損したぜ。最近こんな事ばっかりな気がする。結局あかねはオレの気持ちなんかわかんねぇだ。こんなに我慢してるってのに。
「そうだな。悪かったなあかね・・」
すげぇ虚しくなってきてあかねに背を向けた。早く自分の部屋に戻ろう。
「だって思ってるんでしょ・・・」
「なんだ?」
「アタシって魅力ないもん」
「は?」
「だって、アタシ胸ちっちゃいし」
なんで、どういう展開でそんな話になってんだ?
「・・・ちがっ・だからそうじゃねぇって!」
背を向けてたオレは、あまりにもちぐはぐな会話に思わず、クルッと回って半泣きのあかねの両肩をグッと掴んだ。
「・・じゃあどうなの?」
「オレだって男だ。やるときゃやるって事だぞ!」
「そう、なの?」
「ああ」
オレ今、あかねと見つめ合ってるけど、これはまさか、いわゆるチャンスってヤツなのか?そうなのか?
「・・・乱馬」
「・・・あ、あかね」
「服、着てもいい?そっか。なんだか寒くなっちゃった」
「あ、ああ」
何も無かったような顔したあかねは、オレから離れていそいそと服を着始めた。やっぱりそうだよな。あかねとおれじゃ・・
「この話の続きは誰も家に居ない時にね・・」
「え?」
聞き間違いじゃぁねえよな?
やべぇ。
勝手に顔がニヤけてくる。あかねの顔が真っ赤なのを見ると間違いじゃねぇよな。
「お、おう、じゃあまたな。オレ部屋に戻る」
「うん」
オレは顔がニヤけるのをばれないようあかねの部屋を出ていった。
身体が勝手にスキップ初めてら。
早く続きが話してぇ。
オレ達の距離をもっと縮めてもいいよな?あかね。