☆長編

□龍王
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「きゃっ」

あかねがベットに倒れ込んだ。
「なっ何するのよ」
倒れた時に捲れたスカートを恥ずかしそうに直しながら起き上がり、オレを睨んだ。
そんな目をしても許さねえ。

お前に触れていいのは、



オレだけだ。


オレはじわりと近づくと、あかねは後退りする。それを覆い被さるような体勢で追いかける。
あかねの身体が壁にぶつかった。
あかねの視線が左側に動く。
"逃げさねえ"
バンッと視線を遮るように腕を壁に突き立てた。
「どこいくつもりだ?」
「ど、どこにも行かないわよ」
あかねの耳元に息を吹きかけ
「まあ、どこにも行かせねーけどな」
と、囁いた。

「!!!」

可愛らしい耳を唇でなどると、あかねの甘い匂いが香り、ダメだという理性をマヒさせる。

"モットダ・・"

耳たぶをペロリと舐めた。
あかねがびくつく。良い反応だ。逃げ出さないように、あかねの手首を掴んだ。

耳をなどっていた唇をゆっくりと、うなじへ移動させる。

「っく・・・んっ」


あかねの喘ぎが、オレに拍車をかけ始めた。


オレだけのモノの証である痣を付けた。

一つじゃ足りない。

あかねの首もとを貪る様に攻め立てた。


「ら・・らん・・ぁ」








RRRR
「もしもし?あっ俺。遅くに悪ぃ。久しぶりだな」

'あー真か?久しぶりだな'

「お前さ、風林火館高校だったよな?」

'そうだけど、どうした?'

「お前さ、天道って知ってるか?」

'知ってるも、有名人だからな'

「じゃあ、乱馬とかいうヤツシッテルカ?」

'そりゃもう、早乙女乱馬だろ。あかねの許嫁だろ?'

「許嫁?」

「親同士が決めたっていってたか?まあ、アイツ許嫁が他にもいるみたいだけど」

俺は家に戻るなり、風林館高校のツレに電話してあかねの事を連れ去ったヤツの事を調べた。

調べは呆気なく着いた。

あかねの許嫁であること。
他にも女がいるらしいこと。
そして、拳法の達人って事。

全ての情報が苛立たせた。そんな、ちゃらんぽらんな男を天道は選んだのか?そんなワケない。アイツが、一番嫌いなタイプじゃねーか。

「ふざけんな」

手に持っていた携帯をベットに投げつけた。

昔からやっていた少林寺で、強さに自信があった俺が同じクラスの天道に興味を持つのに時間は掛からなかった。

いつも天道を視線で追ってしまう。
だから、気づいてしまった。アイツの気持ちに。


あの頃、好きな人をひた隠しにしていた天道は苦しんでいた。
近づきたくて、髪を伸ばし始めていたのに俺は薄々気付いていた。
それなのに俺は何一つ気の聞いた言葉を掛けてやれなった。

俺があの高校を選ばす、少林寺で有名な高校を選んだ理由。それは、天道を守る強さが欲しかったから。



"俺だったら天道にそんな悲しい顔はさせねえ"

思うのは簡単。
度胸も自信も何もねぇ。

俺にできることは強くなって、天道を何があっても守ること。


"強くなりてぇ"

そう思って、寝る間も惜しんで稽古してきた。

それなのに。


「面白れーじゃねか、早乙女」



ベットに投げつけた携帯を手に取り、天道の家に電話をかけた。
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