☆長編

□KEEP 2
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オレは道のド真ん中であかねを抱えて、事務所に向かってる。
折角いい雰囲気になってなのによぉ。結局肝心な所であやふだになっちまった。

「ったく、そんなに飲んでねぇだろ?」

「うぅっ、なんれだろぉ。さっきよりも頭がクラクラするぅ」

「オレが来るまでどんだけ飲んだんだ?」

「ええっと、2はい?かなぁ」

オレが来てからも、2杯ぐらいしか飲んでねぇよな。って事は…4杯??そんだけかいっ!!!!!

「大体、お前どんだけ飲めるかぐらい、自分でわかっとけよ!いい年してっ!!!」

「よけーなおせわよぉ」

「おいっ暴れるなって!!!また気持ち悪くなるぞ」

「いーもーんっ」

「よくねぇだろっ!!ほら、ついたぞ」

「ふぁーい」

「あとこれ。ほら、飲めよ」

「うん」

あかねは元気よく手を挙げて、事務所に入り、スポーツドリンクをすぐ手渡すと、素直に受け取り、ゴクゴクと飲み干してソファーに倒れ込んだ。

「大丈夫か?あとで家まで送るから少し休んでろ」

「えーっ!乱馬どこかいくの?」

「どこも行かねぇよ、部屋に戻るだけだ」

「嘘だぁアタシもいくぅ!」

だあっ!コイツ酒グセわりぃぞ!
駄々をこねる子供かっ!

「わ、わかったから。行くぞ」

「うんっ」

そしてタチが悪ぃ事に……素直でかわいいじゃねぇかっ!!!

足元も千鳥足のあかねの手を持って、オレの部屋へ入いり目の前にあったコタツに飛びついた。

「おこたで寝るぅっ」

「そうだな、少し休んでろ」

転がり込むようにコタツに入ったあかねの後に、冷蔵庫から取り出した飲み物を手にしてオレもコタツへ入りテレビの電源を入れた。

「ハハッ。コイツ面白れぇな、おい」

暫くテレビに夢中になり、笑いながらあかねを見るとオレの肩にもたれ、ウトウトとしている。

「おい、あかね。寝たのか?」

「……。」

こくんと頷いてるのは寝ている証拠だな。

オレは肩に乗っかってるあかねの頭をそっとクッションに倒した。

さて、どうするかな。少し休んで家まで送るか。

規則正しく聞こえるあかねの寝息を邪魔しねぇように布団から毛布を取って掛けてやった。

ホント笑ったり怒ったり忙しいヤツ。

よく見りゃ睫毛なげぇな。顔も小せぇし鼻もすっとしてる。

それにしても相変わらず無防備なヤツだ。
もしオレじゃなかったら、ぜってぇ襲われてるぜ。二人っきりで邪魔者はいねぇ。挙句あかねは起きそうもねぇ。こんな絶好なチャンス……。

ん?チャンス?

…ふ、二人っきり?

このまま家まで送らなきゃ、朝まで邪魔者はいねぇ?


……。


待てっ!待てよ!オレ今、何て思った?

寝ちまってるあかねに、て、ててて、手をだそうとした?

駄目だっ。バカかっ!オレわっ!
そんな男としてサイテーな事してたまるかっちゅーの!

いや、待て!据え膳食わねどって言う言葉があるじゃねぇかっ!!!

「んっ…。だめ…。」

ひぃぃっ!って寝言かよっ!

起きているんじゃねぇかって思うぐらいのタイミングで寝返りしながら寝言を言うあかねに驚かされるのに、そんなあかねから目が離せねぇし。


てか、なんで付き人なんだろうな。

毎日一緒なのに、1番知りてぇコイツの気持ちがわかんねぇ。

なあ、あかね。


オレの事どう思ってるんだ?


オレはお前の事……好きなんだぞ。


その唇に触れさせてくれよ。
優しい甘い声で名前を呼んでくれよ。


「わかってんのか?あかね…。」


乱れた髪を整えるように撫でて、オレは自然とあかねの唇にそっとキスをしていた。

「……乱馬?」

「あ、かね」

やべぇと思った瞬間に目を覚ましたあかねは、不思議そうな顔してた目を閉じた。

「寝た?よな」

きっと酔っ払ってるだろうから記憶はねぇだろう。
それでいいんだ。

無理やり事を起こして気まずくなるのも嫌だし、それより何より嫌われたくねぇ。

なんか、情けねぇな。オレ……。

やっぱりちゃんとあかねを家まで送りとどけよう。

それまでもう少しこのまま、寝てるあかねの隣にいたい。少しだけ目を閉じていてもいだろ?あかね……。







「ん……。朝?」

頭が重たい……あっそうだ。乱馬と飲んでそのまま酔っちゃったんだったっけ?

「ってなんで?」

なんで隣りに乱馬が寝てるのぉ?
ここは何処?アタシの部屋じゃない!乱馬の部屋?こたつ?

う、う、うそでしょー???

ふ、服に乱れた形跡は……ないわ。
良かったぁ。

少しずつ冷静になってきたアタシは時計を見ると午前6時前だった。

どうしよう…。

このまま乱馬が目を覚ますのを待っていようかしら。

でも、なんだか気まづいわ。

「……。」

隣で気持ち良さそうに寝ている乱馬を起こさないようにコタツから抜け出して、置き手紙を残してアタシは慌てるように部屋を後にした。
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