深淵の間

□革命の道
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第一話 謎の学生






――私は、知っている。


この世界が、多くの

秘密を抱えていることに。




ジオール. モジュール77.咲森学園



「貴生川先生」

「ん?おお、青山来てたのか?」


第一科学準備室の扉を閉めながら、青山と呼ばれた生徒は片手に持っている紙の束を置かれている机においた。


「うへぇ、またか」


それをみた、貴生川の顔は瞬く間に嫌そうに歪む。

青山は表情筋を動かさず、淡々と言い返す。

「自業自得、ですよ。」


貴生川は、困ったように笑うと普段の彼女を思い出す。


青山 ソウ
咲森学園二年、成績はいたって平均だが、運動神経が良く、ちょくちょく運動部に助っ人として呼ばれる。
平凡な顔立ち下でどこでもいそうな女子だが、人当たりの好い笑顔が自然と人を集める。

…だが、今目の前にいる人物はどうだ?

感情、というものがすっぽり失っていまったような無"表情。

抑揚のない声も

生気の感じない雰囲気も

そして、

普通の人間にはない死"の匂いも

彼女の素性を知らなければおおよそ同人物とは思えない。

「お前なぁ、一応ここは学校だぞ。」

「はぁ」

もう少し学生っぽくしたらどうだ?と貴生川が言えば、青山は少し肩をすくめ、

「二面性とはいえ、ずっとあっちだとつかれるんですよ。」
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