本気で捏造する平助√花終幕
□第四話
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「ーーただいまっ!」
屯所に戻り、玄関を上がって先ずは土方さんの部屋へ向かった。
途中、勤務中の隊士が軽く会釈しながら慌ただしくすれ違う。
…何かあったのか。
声をかけようとした刹那、
「平助」
同じく勤務に就いていた総司に呼ばれた。
「どうかしたのか」
神妙な顔つきが気になって訊ねると、総司はこくりと頷いて口を開いた。
「長州藩士が会合を行う茶屋を突き止めたんだ。日時は未定だけど、今の内から交代で張り込みするってさ」
「……なるほど」
こういった取り締まりは俺たち新撰組の主な職務内容。毎回死者は出るが、物騒なのは日常茶飯事。
「……あれ、その袋は?」
鼻を利かせた総司が指を差す。
「おぅ。土産に饅頭買って来たからさ。お前も食べるよな?」
「勿論!」
嬉しそうに催促する奴の右手に二つ饅頭を乗せてやると、にっこりと笑みを返し。
「じゃあ、行ってくるよ」
「…おぅ」
饅頭を懐に仕舞いながら、早足で張り込み先に向かって行った。
「……………」
廊下の角まで見送った後、俺も目的の場所へと向かった。