ブルー・トリッパーbook

□ごはんと秘密と
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テーブルの上に並んだのはいつもの三倍の量の食事。
漫画やアニメには青峰君の食事風景なんか出ていなかったけど、私と同じ量でこの大きな体が支えられるとは思えない。
だから、参考までに火神君と同じ量を食べるだろうって思って作ってみた。

「いただきます!」

「……ます」

ご飯をたべながらちらりと青峰君を見る。
火神君みたいにがっつかないんだなー。と思いながら。
だってすごく丁寧かつきれいに食べてるんだよ?
いや、でも、これってもしかして、緊張してるの?

「ねえ、青峰君」

「あ?」

「青峰君の好きな食べ物って何?」

「てりやきバーガー」

即答だった。

「ファーストフードじゃん!他には?」

青峰君はしばらく考えた後に

「カレー」

と、つぶやいた。

「じゃあ晩御飯はカレーだね!私も大好きだよ!カレー!!」

ごちそうさまーとお皿を流しに置いてきた。

「なあ」

カチャと青峰君の箸が止まる。

「なに?」

「なんでそこまでしてくれんだよ」

それは漫画やアニメでは見たことのない、青峰君の目だった。

「……なんでだろうね?」

「は?」

「私にもわかんない。でもね、私が青峰君のことを知りたいと思ってるのは確か。
今から青峰君と一緒に生活していくうえで君を知らないといけない。それに青峰君は……」

テッちゃんのことをよく知っている。
元・光だから。

「俺は……?」

青峰君が首をかしげた。
駄目だ、これは言っちゃいけない。

「……なんだったかな?」

あははと笑ってごまかした。
心がズキズキする。
私いま、青峰君を介してみんなが知らないテッちゃんを知ろうとしてた。
青峰君を利用しようとしてた。
最悪だ。

「ちょっとトイレ」

トイレのドアがパタンと閉まったと同時に青峰君への申し訳なさと不安とで涙があふれた。



(私、すごく、嫌なやつだ)



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