治そうにも治らないんです!BOOK
□始まりはいつだって空気を読んでなんかくれない
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六月の始め、帝光中学は例年より早く衣替えをすることを宣言した。
「今日から夏服ぅ〜半そで半そで〜」
「変な歌を歌ってないで早く着替えなよ。置いて行くよ」
あきれながら私の部屋に入ってきたのはお隣さんであり幼馴染の征十郎。
「ちょ!征十郎!?どこから入って来たの!!」
「おばさんが玄関から入れてくれた。早く着替えてくれ。朝練に遅刻するだろ」
そう言いながら赤髪の幼馴染はドアの前で腕を組んで立っている。
「もう!わかったから早く出てってよ、着替えられないでしょ!?」
俺たちの間にそんな遠慮はいらないだろ。なんて言う征十郎を部屋から追い出した。
全くもう。どうやったらあんな変態になるのよ!
夏服にかかったビニールを破いて短い袖に腕を通す。
スカートも冬服と違い生地が薄くて涼しい。
長い髪をふたつに束ねて、日焼け止めを塗って準備おっけー!!
「あ」
ふと壁に目をやると、ベッドの横にあるアニメのカレンダーが未だに五月の日付であることに気がついた。
「名前、まだ?置いて行くよ」
「ちょっと待って。あと30秒!」
ギシッとスプリングがきしむベッドにふらふらと立ち、カレンダーに手を伸ばし、ゆっくりと丁寧に五月を剥がしていく。
このアニメのカレンダーはポスターみたいになっていて、日付が目立たない。それが理由で毎月きれいに剥がしてくるんで取っているのだ。
ああ、このキャラ好きなんだよね〜。取るのが惜しいけど仕方ない。次は誰だったかなー?
ビリッ
いつものごとくきれいにカレンダーを剥がし終わって次の月のキャラクターを見た。
そして……
「……ひ、ひぎゃあああああああああああああ!!!!」
私は勢い余ってベッドから転げ落ちました。
2012/08/26
はじまっちゃいました。