黄昏を射る。

□夜明けに君を射る。
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「兄弟…?俺…と…お前がか?」


「嗚呼そうだ、血の繋がった…いや、俺と名前は違うか」


「待て、待て…どういう…」


「俺と名前は兄弟であって兄弟ではない」


「…何だ…何なんだ…」


「イーリスに俺と全く同じ顔の奴がいただろう?」


「ルフレ…の、ことだよな…」


「あぁそいつだ。俺とそいつは同じであって同じでない」


「…はぁ?だから、何だ…!!」


「つまりだ、名前の実の弟は…お前の知る方のルフレってことだ」



先程よりも大きな衝撃が頭を打ったような感覚

身体が小刻みに震え、手足にはめられた枷の鎖が音を立てた



「…嘘だ…」


「嘘じゃない。紛れもない真実だ」



知りたくなかった真実が
信じたくない事実が
良く知る声にのせて耳に入る



「ショックだったか?名前…」



少し弾むような言い方で目の前の男は言った



「イーリスのルフレはこの真実を覚えていない。それを知った上であの軍に戻れるか?」


「ッ…」



そうだ、ルフレには記憶が無い
俺と兄弟だと知らないのも無理はない

いつだったかルフレに抱きしめられた時に感じた家族のようだという感覚は

俺の気の性ではなかったのか



「名前、ずっと俺の傍に居ないか?」


名前と呼ぶ声は少し低めに耳元で囁いた


「このことを知っているのは俺と名前と父親だけだ」


「…親…?」









顔も覚えていない、血の繋がった

俺を産んで間もなく草原に捨てた…


……待て、ついこの間ルフレの父親が発覚したばかりだ


ということは、俺の父親は…



「……ファウダー…」



ペレジアの王



「そうだ。俺と、名前とファウダーだけがこのことを知っているんだ…」




その声と共に下を向いていた顔にひんやりとした手が添えられた



「まぁ、嫌だと言っても手放すつもりはないけど」



力の抜けた身体によく知る人に似た男が静かに触れる
そのままゆっくりと床に倒され、視界は暗く沈んでいった

















見えない


(見たくない)
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