黄昏を射る。
□黄昏を射る。
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その頃、ペレジアのインバースとギャンレルは兵士の報告を聞いていた。
「まだフェリア王達の足取りはつかめないの?」
「はっ…それが、まったく。まるで煙のように消えてしまって…」
「うふふ…素敵な言い訳ね。」
インバースが兵士に踵を鳴らしながら近づいた次の瞬間
「がふっ!!…な、何を…」
インバースの手にはきらりと濡れた剣が握られていた
「嫌いなのよねぇ、私。言い訳する男って。
役立たずの証明でしょう?」
「おいおい、イラつくのはわかるけどよ。遊び半分でうちの兵士を殺すなって。
落ち着けよ。どこへ隠れていようが、あいつらは出てくるしかねぇんだ。
エメリナがここにいる限りはな!!」
ギャンレルの奇怪な笑いがペレジア城内に響き渡った
「出てきたら、どうするおつもりです?」
「皆殺しに決まってんだろぉ?とびっきり派手になぁ。」
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密偵がバジーリオ、フラヴィア、クロム、ルフレに得てきた情報を伝える。
「聖王様の処刑は明日、ペレジア王城で行われるとのことです。
ギャンレル自身から知らせを出したもので、間違いありません。」
「いよいよ、か。」
バジーリオの顔が苦々しく歪む
「ルフレの読み通りだな。」
「この先も読みが当たってくれるといいが。」
「胸を張りな。あんたの策に、全員乗ったんだ。」
「大丈夫だ、ルフレ。必ず成功する。
いや、成功させてみせる。
姉さんを救出し、皆で笑って帰るぞ。」
「ああ!」
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「ギムレー様…知らせが入りました。エメリナは予定通り処刑されるとのこと…」
無言で黒き靄を纏うギムレーと呼ばれしものと暗闇である会話が行われていた
「…クク、どうあがこうとエメリナは死ぬ。それが、決められた運命と言うもの…
すべてはギムレー様、あなた様の筋書き通りに…」
「…」
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「――――っ!!」
「わっ!?ど、どうしたの?ルフレさん…」
目が覚めたら天幕だった。
「もしかして変な夢でも見た?」
「夢…?
そうか、夢だったのか…
ん?リズはどうしてここに?」
「フレデリクが、そろそろ出発の時間だって。
一緒にいこ、ルフレさん。」
何やら不穏な夢だった。
ギムレーと呼ばれていたものに話しかけていたのは
以前倒した筈のファウダー。
嫌な予感がする。
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「夢?」
ペレジア城北に向かう途中で
ルフレは名前に今朝見た夢の事を話した
「あぁ、…倒した筈のファウダーがギムレーと呼んでいるものに
エメリナ様の処刑のことを話していた。
…ギムレーの筋書き通りにとも…」
「ギムレーって、ギムレー教のギムレーか?」
「さぁ…」
名前は少し言いづらそうに
「…俺もルフレと同じ夢を見た」
と呟いた
「え、名前も見たのか!?」
「あぁ…」
血の気がすっとひいたような
静かな焦りと不安が二人の間に満ちた
「何やってんだよ」
前方を歩いていたガイアがこちらにやってきた
二人は気がつかない間に立ち止まっていたようで
「さっさといかねぇと間に合わなくなるぞ」
「あぁ、悪い」
ルフレの返事を合図に
また三人は前へと歩き出した。
前進していても
(少しずつ後ろへ引っ張られる)