黄昏を射る。

□黄昏を射る。
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「名前さん」

「フレデリクか…」

バルコニーに居たら
いつの間にか横にフレデリクがいた。

「弓の手入れ…ですか?」
「あぁ。」

バルコニーは爽やかな風が入ってくるので
作業がしやすい。


暫くの沈黙。


「フレデリク…何か用か?」

「あ、いえ…ただ名前さんがいらっしゃったのが見えたので…」

「そうか」

少し。

本当に少しだけ微笑んで

彼は作業に戻った。



名前さんはあの騒ぎの後から
少し雰囲気が丸くなった。


クロム様と口付けを交わしたからだろうか?


…彼を好いているのは


クロム様だけではないというのに。


「…フレデリク?」

「あっ!す、すみません!」

「何で謝るんだよ」

今度は本格的に笑い出した名前さん。

それはあまりにも魅力的で

目が離せなくて




「名前さん!」

「!…何?!」



「今から一緒に…森林浴にでも行きませんか?」


淡い独占欲に口を滑らせ


自分でもよくわからないデートに
誘ってしまった。


「?…いいけど…」




予想外にもいい返事をもらえて
自惚れそうになってのは言うまでもない










一つ上の宝石を

(採る前の下準備は不要。)
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