黄昏を射る。
□黄昏を射る。
1ページ/35ページ
―――
息が乱れる。
視線と言う名の針に刺され、
堪らず空を見上げた。
―――
弓の名手と讃えられた女神アルテミス。
その加護を受けたとも謳われた名前は
その能力をみいられ
イーリスを守る自警団に入隊していた。
深海をも思わす蒼い髪を風に踊らせて、
冷たい岩のようなスモークグリーンの瞳で空を仰げば人々は刻も忘れてそれに魅せられていた。
しかし
彼は人々の間で一躍有名人となったが、
とある者の登場により
刻々とその存在も忘れ去られていった。
あの日からの彼の生活は
朝とも夜とも言えぬ
黄昏に沈んだものだった。
沈んだ後に
(その深さと暗さを知り)
(考えるより先にもがく。)