黄昏を射る。
□黄昏を射る。
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名前の部屋で何か夢のようなものを見た。
頭痛がして、気がついたら名前に抱きついていて
『…絶対に、忘れないから』
頭に浮かんできた言葉をこぼしてしまった。
あれは何なのだろうか
俺の失われた記憶の断片なのかもしれない。
「…結局、名前の俺に対しての心境…聞けなかったな……あれ?」
沈みきった日でますます暗くなった城内に一人佇んでる者がいた。
「クロム?こんなところで何をしてるんだ?」
「ルフレか…少し、考え事をな…」
ここは悩んでる人間が多いものだ。
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幼くして聖王を継いだエメリナ様。
彼女の今までの苦悩とクロムの心を聞いた時、また彼がやってきた。
――マルス
未来を知っていると言う彼
―いや、本来は彼女であった
彼女の導きにより、エメリナ様の暗殺を企てる輩がいることが判った。
緊急召集をかけ、戦闘に移る。
さて、どう戦局を描こうか。
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戦闘が始まった。…よりによってルフレの隣。
まだ、俺はルフレに対しての心境の答えを出せていない。
彼を横目に見る。
…やはり戦術は優れている。
俺が支援する必要も無いくらいに…
嫌い…なのだろうか?
さっきの抱擁にも特に嫌悪感はなかった。
驚きが大きかったせいもあるかもしれないが。
首絞められると思ってたからな…
気がついたら敵は殆ど倒していたようだ。
いつの間にか仲間が増えている気がするが…
まぁ、クロムが声かけたとかそんなところだろう。
残るは敵の頭。
異様な雰囲気を纏った奴はルフレと俺を目の前にして口を開いた。
「…ほう、お前が……くく…お前のことはよく知っておる。教えてやろう、お前を捕らえてからな!」
それは全てルフレに向けられたものであった。
奴は彼を捕らえる気だ…!!
ふと、身体が勝手に動いた。
弓を射る
矢は見事に奴に命中したが、それを切っ掛けに俺をまじまじと見た奴は
「お前は…!!…くく…これは大層な土産ができたものだ!!」
と言って闇夜に葬られた。
「…!?」
奴は…ファウダーと呼ばれる彼は…
俺の何を知っているんだ?
同じ考えらしいルフレと同様に
俺は顔を歪ませた。
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後から聞いた話だが、イーリス軍には新たにタグエルと呼ばれる種族のベルベットという女性と
盗賊のガイアという青年が加わったらしい。
盗賊の方はかなりの甘いもの好きだとか。
モザイクの隣
(何か引っかかるものは)
(細く長く続く)