黄昏を射る。

□黄昏を射る。
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フレデリクに誘われて久しぶりに森林浴に来た。

最近何かと忙しかったためこうしたゆっくりと過ごす時間が心地好い。


「名前さん、ちょっと失礼しますね」

そう言ってフレデリクは俺の髪を弄り始める。

「…何してるんだ?」

「少し…待ってて下さいね……よし、出来ました!!」
フレデリクが触っていた付近に手を伸ばすと

「…花?」


「さっき見つけて、名前さんに似合いそうだったので…」

本当に、よく似合っています。

そう言って目を細めたフレデリクに
御礼を言うべきなのか女じゃないから似合っても嬉しくないと否定するべきか迷っていると
おやおや?
…と聞き覚えのある声が聞こえた。


「これはこれは、フレデリクくんに名前くん!!奇遇だねぇ…」

「ヴィオールさん…」

フレデリクの顔が一瞬歪んだ気がしたが、…たぶん気のせいだよな?


「ヴィオールも森林浴か?」

「いやいや、私は少しマリアベル嬢に用があってね…城内に姿が見えないんで外を探していたのだよ」


「マリアベル様ですか…そう言えば私も朝食以来見ておりませんね…」


結局、リズならマリアベルの居場所を知っているのではないかという結論に至りフレデリクとの森林浴を再開。


思ったより歩いてしまったようで、何時の間にか日はだいぶ傾いていた。



「森林浴、誘ってくれてありがとなフレデリク」

楽しかったよ


そう告げるとフレデリクは静かに俺の髪に未だ飾られていた花にそっと触れ、

私も楽しかったですよ

と囁きゆっくりと口を塞いだ。



木の香りと

(蜜の香りの中で)
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