長編
□第10話 俺の部屋
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紅にさんざん飲まされてしまったさこちゃんをおんぶして、俺達のマンションに向かう__
途中、さこちゃんが起きて俺の背中でバタついてたけど、しっかり力を入れておいたから問題ない
歩く事数分
「………さこちゃん、寝ちゃった?」
俺の背中が心地よかったのか、ぐっすり眠ってしまった様子
どうしようかねぇ
俺は、自分の部屋とさこちゃんの部屋の間でウロウロしている
んーーーー
「……さこちゃん?」
声をかけるも虚しく、やっぱり完全に寝入っているみたいだ
こりゃ、参ったね
勝手に上がり込むのはよそう
そして俺は、ポケットに入れていた鍵を取り出し、鍵穴に差した__
別にやましい気持ちがある訳じゃない
これは正当な理由さ
カチャ__
自分の部屋なのに、なぜか緊張する
「…何緊張してんだか……」
そう呟いて、俺は靴を脱ぐ
そして、まっすぐにベッドに向かう
さこちゃんをそっと俺のベッドに寝かせ、靴を脱がせる
「気持ちよさそうに寝てるねぇ」
さこちゃんの靴を脱がせた後、布団をかけて顔を覗き込むと、何とも幸せそうな寝顔だ
さこちゃんの前髪がおでこにくっついているのが目に入る
さこちゃんの目線位までしゃがみこみ、そっと手を伸ばし前髪をかき分ける
「んーー……」
ドキッ
……何で俺ドキッとしてんのよ
別に彼女が起きたっていいじゃないの
悪い事してるんじゃないんだから
そう自分に言い訳する