OOO

□夜道にはご用心
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「ふぅー・・・っ」




また事件が1つ解決した。

鴻上ファウンデーションを退社してから再び、警察のエリートの道に舞い戻った俺は
日々、事件を追い続けている。

今回の事件、結構厄介ではあったが、解決するとかなりの達成感を得られて俺は
かなり満足していた。

明日は休暇をもらっている。

大きな事件を解決した、ご褒美とも言ってもいい休暇だ。

明日は部屋の掃除をしたら、のんびり過そう・・・。






現在、午前2時。

事件の報告書を書き上げたいがの一進で、つい遅くまで残ってしまった。

今日は車で来ておらず、歩いて帰らなくてはならない。

俺は歩みを速めた。すると・・・・・・





ジャリッ―――





靴を擦る音が俺の後ろから聞こえた。

俺は構わず歩き続けた。だが・・・・・・





ジャリッッ―――







足音は付いてくる。足音が俺の所まで聞こえて来ている事を気づいていないらしい。

俺は、ストーカーになれていた。正直、こんな経験は沢山してきた。

警察に戻る前にも何回かあり、伊達さんに相談したところ―――






『後藤ちゃん、細身で綺麗で可愛いからこの世の男たちがほっとく訳、ないでしょ』







と、いつもの太陽スマイルで笑われた。

だけど、その後ちゃんとストーカーを遣っ付けてくれた。






『可愛い後藤ちゃんのボディーガード、怖いお兄さんの伊達明!・・・格好善かった?』

だが、今回は伊達さんは海外で医療活動をしているため居ない。

だからと言って逃げてばかりと言うのは許せるわけがない。

警察でアメリカの海軍兵を講師に戦い方を教えて貰っている。

その成果があってか、今回手がけた事件は速く解決することが出来たのだ。





「・・・・・・・・・」






足音の数は1人分。

足音の間隔から男。(女性のストーカーもあった事がある)

足音の大きさからおそらく10メートル近くは離れている。

俺はゆっくり速度を落とす。足音はどんどん近づいてくる。

どうやら、後ろから襲うつもりらしい。

足音がどんどん近づく。

足音がついに真後ろに来たとき両脇から挟みこむような気配がした。

俺は膝を曲げてしゃがみこむ。俺を捕まえ即ねた手が空を切った。

その隙に、俺は脚を伸ばしストーカーの足に引っ掛け、思いっきり転ばす。






「・・・・・・っ!―――」







尻餅をついたフードを被った男の、背後に回りこみ

左腕を男の首に右手で男の右肩をつかみ、うつ伏すに押さえ込む。

さらに、左手を後ろ手に回させ腰のところで押さえた。

男の上に片膝をついた状態で馬乗りになる。


「警視庁刑事事件課の後藤慎太郎だ。今から警察署に来てもらおうか」







男に警察手帳を見せ、手錠をかけようとした時だった。






「待って・・・!俺だよっ後藤ちゃん!!」







聞き覚えのある声が俺の下から聞こえた。

思わぬことに馬乗りの状態でフリーズしてしまう。




「後藤ちゃん?俺だよ!伊達明!」






フードの男・・・・・・いやっ伊達さんは俺が押さえ込んでいるため、身動きがとれず、
首だけ曲げて懸命に後ろを見ようと努めていた。


・・・え・・・?







「・・・・・・え・・・?」伊達さん?


「後藤ちゃん大好きの伊達さんですぅ!」



なんとも恥ずかしい事を言う伊達さんだったが、今は伊達さんから
この拘束を解くことが大切だった。

俺は慌てて、伊達の左手を離し上から退いた。






「す・・・すみませんっ伊達さん!気が付かなくて・・・・・・」


「まぁ〜、気づかれないようにストーキングしてたの俺だし?いいよ、いいよ!」






伊達は左手をさすりながら立ち上がった。


「伊達さん、いつ帰国を?」


「ん〜・・・夜の便で1時ぐらいについてタクシーで此処まで来た!」







伊達さんはあの太陽スマイルを見せてくれた。思わず顔が緩む。






「でも、さっきは一瞬だけ後藤ちゃんになら逮捕されてもイイかなぁ、って思ったんだけどさっ
 それじゃぁ、後藤ちゃんとラブラブできないと思って、慌てて止めたのっ」


「そうだったんですか・・・でも、すみませんでした・・・」





もういいって―――と、伊達は手を振った。すると、

「俺さ、後藤ちゃんのこと逮捕して、取り調べ・・・してもいい?」


「・・・?・・・」










一瞬訳の分らなかった俺が首をかしげていると、伊達さんは耳元で






「隅々まで後藤ちゃんを愛しちゃってもイイですかぁ?」


「・・・!!・・・」

やっと理解した俺は顔中熱くなっていくのがわかった。

そして、





「・・・・・・自首します・・・・・・」










自首する場所は警察署ではなく、俺のマンション。

逮捕されるのは手錠にではなく、伊達さんの手に。

取り調べ場所は取調室ではなく、ベッドの上。

そして、取り調べられるのは俺自身。



伊達さんの溶けるような甘い取り調べは朝まで終わらなかった。






Fin.❤

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