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□溶かしていく様にY 後編
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遠い大昔。
山と谷に囲まれた広い土地がありました。
その土地に木々が生い茂り、湖が長い年月を経て生まれました。
四季折々にその土地は姿を変えていき、動物たちの憩いの場所となりました。
そして、人間たちもまた・・・。
「母さん!魚捕れたよ!」
その土地に人間たちも住み始めてから幾年月。
何代目かの子どもたち、男の子は父親について働き、女の子は母親について家事手伝い。
皆が皆、自分の仕事をして幸せに暮らしていました。
今日もまた・・・。
「おっきいの捕れたわねぇ〜偉いわ慎くん!」
「これ位、当たり前だと思いますが・・・」
母の知世子は1人息子の慎太郎の頭を嬉しそうに撫でた。
正反対に、父の清人は慎太郎を褒めようとしない。
「もぉ、清人さんはいつもそうなんだから・・・」
「いつものことです。何も問題はありません」
清人は慎太郎の後ろで、片手に釣った魚と釣竿。
もう片方の手というより二の腕に白目をむいた人形を。
人形もいつものこと。
「さあ、夕ご飯にしましょ!」
清人と知世子と慎太郎は
夕食が並ぶテーブルへ肩を並べて歩いていった。