立海
□恋のエスパー
1ページ/1ページ
『はぁ...』
自分の短所を答えろと言われると、すぐ頭に思い浮かぶ。
顔は老け顔、すぐ怒鳴る、鈍感で鈍い。指が十本あっても足りない。
『どうせ、俺は...』
さすがの痛いたしさに、更けくれてると。
『おー真田ぁ!!!!!!』
教室のドアからピヨっと仁王が姿を見せる。なにか用があるのだろうか。
『どうした仁王。忘れ物か。すまんが、次の時間割りはお前のクラスと授業がかぶってる。なので、貸すわけにはいかん...』
真田が真剣に説明している横で、仁王は、ニコニコと微笑んでいる。
『どうした。』
『のぉ真田。』
仁王の指が真田の前髪に触れた。
『なっ、何をするのだ!!!!!!』
『まぁ黙っときんしゃい。うるさいのぉ真田は。』
うるさい...
『そんなこと!!!!!』
そんなこと一番自分が理解している。でも他人に直接言われると傷つくものだ。
思わず下を向いてしまう。
『なぁ、仁王。俺はどうすれば...
』
『でも、わしはそんな真田が好きじゃ。』
仁王が真田の頭をポンッとたたいた。
『はぁあ..』
そんなことは、ありえない。
『仁王、冗談は。!!!!!!!!』
真田の言葉を無視し、仁王はペタペタと真田の顔をまさぐる。
少しこそばい。
『真田の顔が好きじゃ。』
『//////』
『その、親父みたいに叱るところも好きだし、鈍感なとこも好きじゃ。』
仁王に触られたところが熱い。
『実は怖そうに見えて本当はチームのことを一生懸命考えている優しい真田も、わしや、チームのみんなは知っとる。』
『そんな真田が、わしは好きじゃ。』
『...ッ』
好きと連呼する仁王の顔を直視できない。
『なぁ...』
横目で恥ずかしながらも仁王を見ると、やはりニコニコと笑っていて、思わず目をそらしてしまう。
『っ!!』
仁王の発する言葉により、さっきまで気にしていたことが吹き飛んでしまった。
『仁王!』
『なんじゃ。』
『ありがとう...』
思わず口からは感謝の気持ちが溢れ出していた。
『でも、どうして。仁王はここに来たんだ?』
さっきからずっと思ってた。
たいした用事は滅多にないはずだ。しかも、仁王は自分の悩みを知ってるようにも思えた。
『エスパーじゃ。』
『エスパーぁ...』
『いまいち。意味がわからん。』
『じゃッ真田。そろそろ帰るわ。』
キンコーンと昼休みの終了を伝える放送がなる。
『じゃあのっ!!真田』
仁王はチャイムと共に教室を出ていった。
廊下をスキップしながら歩いていく。
『エスパーじゃ♪』
恋のエスパー