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□一度くらい、愛してよ
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つまんない。つまんないつまんない。


せっかく真太郎と同じ学校、同じクラスになれたのに。


昔から、真太郎が大好きだった。

中学校の時はいっつも真太郎の側には私がいた。


私の事を彼女だと勘違いされる度に真っ赤になって否定する真太郎が可愛かった。


それが嬉しくて、何度も何度も真太郎に飛び付いた。


真太郎は怒ってたケド、最後は黙って受け止めてくれた。



【好き】の二文字は決して言わなかったけれど、私は幸せだった。


それが、今じゃ……



私は真太郎の隣にはいない。


代わりに高尾君がいるから。


分かってる。彼は黒子くんや黄瀬くんみたいな感じだって。


でも真太郎はなんだかんだ言って高尾君を側に置いてる。


最低だ。嫉妬から高尾君を嫌いになるなんて。


何度も高尾君と仲良くしようと思った。

でも、その度に高尾君の目が、


―お前は【過去】の人間だ―



って言ってるきがして、どうしても話しかけられないんだ。



ゆっくりと、真太郎が座っていた席に座る。


真太郎の方が、ずっとずっと身長が高いから、私が座ったら床に足が届かない。



『わたし、みたいだね……』


宙ぶらりんな関係を続けた結果、こんな事になって。


【好き】なんて言えず、それに付き合っても無いのに嫉妬で高尾君まで嫌いになる。


『っ……、さい、てい』



もう、やめよう。真太郎の席に座ってるから涙が出るんだ。


そもそも真太郎の席に座るなんて変態じゃないか私。


帰ろう、そして忘れよう。明日には笑えるようになるんだ……


「ヤッベ、忘れ物……」

『えっ……』




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