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□ずるいから好き
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鉄平が帰ってくる。

どれだけこの事を待ち望んだんだろう。


もうすぐ、もうすぐ会える。


鉄平に、会える。


おっきな手で頭を撫でたり、優しい声で愛を囁いてくれる。


そんな鉄平が、私は大好きだった。




-ガラリ-



体育館のドアを勢い良くあける。

少し強く開けすぎたかな。でも、まぁ、良いか。



『てっぺ、い』



貴方に会えたから。



「おぉ、名前じゃないか」


昔みたいに人懐っこい笑顔を私にみせる鉄平。

あぁ、懐かしいな。


『鉄平』

「ん?なんだ?」

『お帰りなさい』

「ただいま」


そう言い合いながら二人で抱き合う。


あっ、てっぺいのにおい。


「ごめん、な」

『なんで?』

「心配、しただろ?」

『ぜーんぜん』



嘘。ホントはずっと心配してた。怪我は勿論心配したけど、美人な看護婦さんに目を奪われてないか、心配だった。

でもそんなこと鉄平に言うのはなんかイヤだから精一杯の強がりをしてみせる。



「ごめん」

『謝る事ないよ。大丈夫。』


鉄平のあったかい胸に顔を埋めながら答えたら鉄平は気まずそうに声を発する。


『なに、まさか、てっぺい』

「いや、その、あれだ。」


このどもりかたは変だ。なにかある。


『怒らないから。ほら。』


あー、とか、うー、とか鉄平はしばらく言っていたが、突然、よし、と言い出した。

「その、久しぶりだから名前とシたくなった。」






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