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□そんな、お昼の、物語
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今日はたまたま彼の部活が無かったため、おうちでゴロゴロしている。
ポカポカとした春の陽射しに、なんだか眠い。
隣の彼を見ると、彼もうつらうつらしている。
『ふとん、行く?』
そう訪ねると私の腰に回った腕に、微かに力がこもる。
―これはまだ、一緒にいたい合図―
彼の方を振り向くと、今にも閉じそうな瞳と目があった。
長い睫毛が顔に影をおとす。
少し硬い、彼のくせっ毛が妙にくすぐったい。
『幸せだなぁ……』
そう呟くと、微かに動く口元。あっ、今笑った。
言葉がなくても、わかり合える。それが私達の幸せ。
『みと、べ』
呼ぶと眠そうな顔を少しだけあげる。
『これからも、ずっ、と、こうしてたい、ね……』
話しながらどんどん瞼が閉じていく。
なんだか私まで眠くなっちゃった。
返事の代わりに、私の腰に回していた腕をといて、手を握ってくれた。
―ずっと、一緒にいるよ―
夢の中で、彼の声が聞こえた気がした……
そんな、昼の、物語
(キャー!!顔、日焼けしてる!!)
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