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□眩暈がした
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ちゅ、と唇が触れた。くらり、とした気がする。彼女はゆっくり笑みを浮かべると、俺の上に跨がったまま言葉を並べた。

「涼太は最初あたしのこと、好きなんかじゃなかったでしょ。告白されてフリーだったしなんとなく遊び相手が欲しかったからオッケー出したんだろうね、実はあたしもあのときは涼太のことなんか好きじゃなかったよ。みんながイケメンイケメンあんまりにも口を揃えて言うからさ、あー、変な話してたら変な汗かいた。あはは。涼太さ、今でもあたしのことそこまで好きじゃないでしょ、なんとなく続いてるから振れてないだけ、みたいな?……どうにでもなるとでも思ってるんだろうなあ、だってなんも言わないし。でもどうにかなってるのがムカつくわ。どうにかなってすまされてる自分にも腹が立つし。……ね、涼太。」

そこまで彼女は喋りきると、息を吸ってもう一度俺にキスをした。
そして俺はまたくらり、とした。

(この眩暈はなに?)



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